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鉄骨造の雨漏り事例(その1)【雨漏り110番藤沢店】

2019.06.22 雨仕舞,正しい知識,建物のメンテナンス,建築構造・建築施工,雨漏り職人,雨漏り調査の方法,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番藤沢店の能登が担当します。

本日のコラムでご紹介するのは鉄骨造の雨漏り事例です。
本題に入る前に、まずコラムの本文中に出てくる雨漏り関連用語について解説します。
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【雨漏り関連用語】※NPO法人雨漏り診断士協会が定義し提唱している用語です。
「雨漏り」
施工の意図に反し、建物内部に雨水が浸入すること。
「雨漏り具象」
雨水浸入が推察され、建物内で雨水の経路、含水、浸出等が現認可能になる状態のこと。
「雨漏り解決」
意図的な施策により雨漏り具象が発生しなくなること。
「雨漏り診断」
多様な調査方法(散水調査・貯水調査等)を駆使して、雨漏りの原因を特定すること。
「雨水浸入位置」
雨水が建物外部の仕上げ層より内部に浸入するところ。
「雨水浸出位置」
浸入した雨水が建物内部の仕上げ層表面より浸出するところ。
「単一雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。
「複数浸入雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。
「複数浸出雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が複数箇所の雨漏りのこと。
「創発雨漏り」
各要因の複雑な相互作用により、問題のある部位ごとの性質にとどまらない状態にある雨漏りのこと。
「浸水経路」
雨水の浸入から浸出までの経路のこと。
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それでは本題に入ります。

建物は2階建て鉄骨造、外壁はサイディングで、歯科医院を営業されています。
新築時より何度も雨漏りが起こり、今まで5社もの業者に雨漏り修理を依頼してきたものの、雨漏りは止まることがなく、約30年もの間、雨漏りに悩まれていたそうです。
雨漏りは、診察室の西面1階出窓の上部窓枠及び天井付近からです。
雨漏りの浸出位置は1箇所ではなく、複数箇所におよび、雨量の多い少ない、風の強い弱いに関わらず、漏るときは漏るという具合で、雨が降る日には必ず水受けなどを雨漏りしている箇所に置いているとのことでした。

天井が黒くなっている部分は、最も雨漏りをする箇所で、湿っていることが多いためにカビが生えてしまっています。

雨漏りの浸入位置、原因を特定するため、仮設足場を掛けて散水調査を行います。

診察室の約9mある西面出窓の天窓へ散水を行い、すぐに、数か所から雨漏りが発生してしまいました。

西面出窓の天窓部分は、サッシのシーリングが劣化で切れていたり、なくなっていたりとしており、雨漏りをする可能性が高いと考えていましたが、予想以上の結果になってしまいました。

診察室の西面出窓よりの雨漏りは再現されましたが、次に、診察室の出窓上部の西面外壁から雨漏りが発生しているかを確かめます。

外壁の高さの半分ぐらいの高さ(1階、2階の間)より散水を行い、その際に、先程、雨漏りが再現した出窓には、水が掛からないように養生を行っています。

写真ではわかりにくいですが、散水してから数分で最も雨漏りをしていた天井と出窓の上端木枠よりの雨漏りが発生しました。

診察室の室内点検口より確認したところ、外壁サイディングの裏側より雨漏りしていることが確認されました。

また、先程の出窓からの雨漏りとは、異なる場所からの浸出であり、今回の雨漏りは、複数箇所の浸入で複数箇所の浸出であることが確認できました。

次に、診察室の西面外壁の最上部(2階上部)より散水を行うのですが、先程の雨漏りが再現された箇所からの雨漏りが止まらないことなどから、散水調査を行っても、雨漏りをしているかの判断できないので、日を改めて散水調査をさせていただくことにしました。

後日、さらに浸入位置を絞るために散水調査を進めて行きます。

診察室の西面外壁の最上部(2階上部)より散水調査を行いました。
その際に、先日、雨漏りが再現された外壁や出窓には水が掛からないように養生を行っています。

散水から約30分後、前回と同じ位置の雨漏りが確認されました。

また、診察室の天井点検口より確認したところ、前回とは異なる場所からの雨漏りも確認されました。

さらに、雨漏りの情報がなかった西面外壁の2階出窓への雨漏りも確認されました。

以上で、診察室の雨漏り散水調査は完了となります。

次に、待合室の雨漏り散水調査を行います。

待合室は過去に雨漏りをしていたが、複数回の雨漏り修理を経て、近年では雨漏りはしていないとのことだったのですが、診察室の散水調査の結果から、具象化していないものの外壁内部には浸入している可能性があるため、お客様とご相談の上、念のため、散水調査を行うことにしました。

待合室の西面外壁のバルコニー笠木付近より散水を行いました。

散水から約60分後、目視では雨漏り具象は分かりませんが、赤外線カメラで確認すると待合室の西面ガラリ窓の天井付近に、温度が低くなっている箇所が見受けられ、直接触ると濡れており雨漏りが確認されました。
この散水では、広範囲に散水していたので、次は局所的に散水を行い、浸入位置を絞ることにしました。

西面外壁から出ている排水管と外壁との取り合いに散水を行いました。
排水管に見えますが、実は、エアコンの冷媒管が中に通っています。

散水から約60分後に、目視では雨漏り具象は分かりませんでしたが、赤外線カメラで確認すると待合室の西面壁に温度が低くなっている箇所が見受けられ、さらに、湿度計で確認すると数値が高くなっており、壁内部に漏水していることが分かりました。

西面外壁から出ているバルコニーの排水口に散水を行いました。

散水から約15分後に待合室の西面ガラリ窓の左下角より雨漏りが確認されました。

散水調査はこれで完了の予定だったのですが、これで完了ではなくまだ続きます。
というのは、今回の散水調査において、散水をすると漏ってしまうという状況にあり、他の気になるところをとことん散水することになったからです。
他というは、階段室の天井と壁です。
この場所も待合室同様に以前に雨漏りしていたとのことで、この場所につきましても散水調査を行うことになりました。

階段室の真上にある屋上室外置場の床へ、散水を行いました。

散水から約7分後に、目視では雨漏り具象は分かりませんでしたが、赤外線カメラで確認すると階段室の南西角の天井及び壁に温度が低くなっている箇所が見受けられ、さらに、湿度計で確認すると数値が高くなっており、壁内部に漏水していることが分かりました。

この雨漏りをしている箇所の真上には、屋上室外機置場の排水口があります。
散水から約7分後という短時間での雨漏り具象であり、その他箇所からの雨漏り具象は見受けられなかったことから、この排水口からの雨漏りの可能性が高いと考えられました。

屋上室外機置場の外壁に散水を行いました。

散水から約56分後に、目視では雨漏り具象は分かりませんでしたが、赤外線カメラで確認すると階段室の南側天井に温度が低くなっている箇所が見受けられ、さらに、湿度計で確認すると数値が高くなっており、壁内部に漏水していることが分かりました。

屋上室外機置場の南側外壁の反対側の南面外壁に散水を行いました。
ここでは雨漏りは具象化しませんでした。

南側屋根に散水を行い、雨漏りは具象化 しませんでした。
(※この時、外壁に水が掛からないように調節しました。)

これで、全ての散水調査が完了となりました。

以上から、西面外壁の全面、屋上室外機置場床の排水口及び外壁より漏水しているという広範囲でさまざま場所からの雨漏りが確認されましが、外壁においては目視で浸入するような大きな不備や劣化などは見受けられないことから、外壁のどこからか、水が染み込んだり、目視では確認できない小さな穴などから浸入し外壁内部の2次防水の納まりに不備があることが予想され、外壁のサイディングを撤去し、2次防水の透湿防水シートの最適化(正常化)、屋上室外機置場床の排水口に改修ドレンを使っての防水工事が必要であることが分かりました。

工事については、次回お伝えいたします。

2019年6月22日
雨漏り110番藤沢店
能登広

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