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設計事務所から依頼を受けた増築の雨漏り事例【雨漏り110番飯田店】

2019.02.28 雨漏り修理,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番飯田店の宮下が担当します。
よろしくお願いします。

お客様との関係づくりから始める

 

雨漏り110番飯田店として活動を始め1年経過した頃に、とある設計事務所より雨漏りに関する相談と調査依頼が来ました。
その設計事務所が関わったお客様のお宅で起きた雨漏り事案でした。

設計事務所にお邪魔し、大まかな内容を伺うと、既存の住宅に新たな建物を増築した結果、その後増築部と既存部の境目になる天井からの雨漏りが起きたという話でした。

設計事務所ではその原因を突き止めるべく、考えられる場所の屋根や外壁等をめくり、その都度出来る対処を行ってきたものの解決することができず。
その結果、お客様から信頼を得られなくなってしまったとのことです。
信頼を失ってしまった原因の一つには、設計事務所の所長自らが責任を持って動かなかった事も大きな要因となったようです。

お客様と設計事務所との関係にヒビが入る形になり、お客様から信頼を失ってしまった事で、WEB検索で当社へ依頼が入ったという流れです。

雨漏りが解決できない事以前に、お客様から信頼を失ってしまっては、仕事をしていく上で大きな問題だと考えます。
当店としては、あくまでも新規の業者としての立場でお客様と対峙させてもらいました。
当店なりの考えを基に説明した結果、お客様から一定の信頼を頂くことができ、雨漏りの原因調査を行うことになりました。

雨漏りの原因説明には時間を掛ける

 

今回の雨漏り調査は目視調査を中心とし、屋根や取り合いをめくり、その内側の透湿シートの状況を確認することを中心にしました。
目視調査を中心にした理由は、お客様が仕事で不在がちという事や、これまで何度も雨水浸入による被害があった事から、散水調査の実施にご理解を頂けなかったためです。

調査を行う中で、施工上禁止している部分や、雨水が浸入しやすい板金の雨仕舞など、特に屋根、外壁の取り合いの雨仕舞に注目して目視を続けて行きました。
しかし、その部分からでは、雨漏りが起きた天井への雨水量が入らないと考えられます。


増築部分壁(金属サイディング)と
屋根(嵌合式立平葺き)取り合い、既存横葺き屋根


増築側金属サイディングと屋根棟部


既存屋根軒先、雨仕舞と増築部分壁取り合い


既存ベランダ手すり付笠木と増築側金属サイディング


雨水侵入防止養生(設計事務所設置)

検証のために何カ所かの仮養生を行い、自然の降雨を待ち、お客様との電話やメール等のやり取りで状況を確認をして行きました。
その結果、屋根や壁からの雨水浸入ではなく、既存の建物側にあるベランダ手すり付笠木と、外壁との取り合い部分の納まりに大きな瑕疵があることがわかりました。


手すり付笠木と外壁取り合い撤去後


原因となった雨水浸入位置
※設計事務所の防止養生は一定の成果はあったと考えます。

お客様にご説明する際は、撮っておいた写真の画像を加工して、出来るだけわかりやすく、時間を掛けて説明しました。
また、その都度ご理解いただけているか確認をしながら進めました。


雨仕舞先端部つまみ込み部分の雨水の伝わり


棟部と金属サイディング取り合いシーリング処理


アルミ笠木端部の防水処理なし


既存壁と笠木端部の防水処置なし

お客様への説明の際には、単に写真を見せるだけでなく、多少簡単な画像加工をすることも、わかりやすく説明するためには有効であると考えています。
また報告書もあまり長くならないように簡潔にしていく事も、お客様に伝える為には必要な工夫になると感じました。

納得を頂いた上で修理をし、工事後は報告を行う

 

作業は出来るだけ短期で行うように予定を組みます。

今回の作業範囲は屋根上部分の不安要素を持った雨仕舞の改修と、雨漏りの原因となった手すり付笠木の壁取り合いの改善工事です。

屋根上では屋根と壁の取り合いに雨押えとなる水切りを取り付けます。
気を遣った事は、屋根材の立ち上がりを壁内に入れない事、屋根先端部で伝わってきた雨水が壁側に伝わらないように先端で雨水を切る工夫をする事にしました。


壁際雨仕舞の水切り施工と水切り端部納め

金属サイディングの横貼りは雨水が目地を伝わり縦目地に流れ、透湿防水シート側に流れ込まない様にするため、あえて施工範囲を限定する様に施工しました。
壁面に透湿防水シートを増し張りし、壁と同色の平板による平貼りを行い、目地部からの雨水浸入を防ぐ様にしました。


金属サイディングへの平板貼

最後に今回の雨水浸入口になっていたベランダの手すり付笠木と外壁取り合いについては、不必要になった手すり(コーナー部分より)を外して雨仕舞がしやすい形にした上で、雨水浸入の元となった既存笠木と既存壁との取り合いの処置を念入りに行いました。
その上で、新たに板金加工をした笠木を取り付ける為の木下地を組み、透湿防水シートや防水テープを使い2次防水の処置をしっかりと行いました。

さらに、その上に新たな笠木と外壁取り合いの平板貼、既存の壁と増築の壁との境目になる部分の雨仕舞を行いました。
また、屋根上から落ちてきている竪樋を、ベランダを通すことなく下部の竪といに接続し、今後ベランダでオーバーフローによる雨漏りが起きないようにする予防的な処置もやっておきました。


ベランダ笠木と金属サイディング取り合い雨仕舞

今回の工事はこれで完了です。

 

今回の雨漏り修理でわかった事

 

完了後、設計事務所へ報告すると同時に、お客様への報告も書面にて行いました。
その後は雨が降るたびにお客様に雨漏りしていないことを確認してもらい最終的な解決へと導くことができました。

本来、お客様との直接のやり取りの中で雨漏り解決を目指していくことが、当店が目指しているカタチではあります。

先の業者さんとお客様との関係がこじれた中での雨漏り調査は、当店との信頼関係を築くことから始めなければならない大変さと、設計事務所に対する細かな報告など、通常より大変であることが身をもってわかりました。

また、新築と違って既存の建物を増築した場合は、雨水の流れや雨水の切り方、伝わり方を、施工時により慎重に確認したり、不測の事態を考えての工夫や、仕上げ方の変更など、施工者としての仕事もこれからの重要な課題になりそうです。

 

雨漏り110番飯田店としての役割に関して

 

雨漏り110番飯田店(宮下板金工業)の事業として、雨漏り診断士の取得から始まり、雨漏り110番グループへの加入へと進めてまいりましたが、当店への依頼は徐々に伸びてくる状況となってきています。
雨漏りの状況、建物の仕上げや形状は、時代とともに変化はしているものの、雨漏りが起きる基本的な原因は「多くの人が関わる仕事」として起きてしまう事故になります。
しかし、その事故は本来防ぐことができる事でもあります。

法整備等、現在はマニュアル化された中で事故は減少しつつあるものの、お客様の維持管理の問題によって雨漏りが起きる可能性もあります。
そこで、当店では定期的にブログの更新を行いながら、雨漏りを一歩手前で防止が出来るような情報を発信しております。
現在の建築は定期的は保守点検が重要だと考えています。

また、建物の形状がよりシンプルになってきた事で雨漏りの箇所も変わってきております。
当社の本業でもある屋根からの雨漏りは比較的少なくなってきております。
しかし、仕上げが多岐にわたり、多くの業者が関わって建てられている以上、これからもこういった問題は起きます。
私たちはこのような問題を解決していくために日々努力を続けてまいります。

これからも皆様よろしくお願いします。

2019年2月28日
雨漏り110番飯田店
宮下隆行

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