本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番上尾店の千葉が担当します。
よろしくお願いします。

雨漏り診断における調査方法としては、散水調査・貯水調査・サーモグラフィー検査・ガス(臭気)による調査方法などがあります。
それぞれメリットデメリットはありますが、今回は貯水調査（水張り検査とも言います）について取り上げてみたいと思います。

雨漏りのご相談を頂いた場合、現地確認(下見)、※1『雨水浸出位置』の確認、外部の確認を行います。

その際、ヒアリングを行いながら、建物の築年数、構造、階建、立地、使用材、雨漏りの履歴、漏水形態等を確認し、仮説を立てながら雨漏りの原因を探ります。
雨漏りの原因が簡単にわかるケースであれば、その原因を改善するための修繕工事のお見積りを提出するという流れになりますが、大抵の場合においては※2『雨水浸入位置』は明確ではありません。
いわゆる目視点検により被疑カ所が判明しただけであり、実際に雨水の浸入の有無は調査を行わなければ判別できません。

また、※3『雨漏り具象』は散水調査・貯水調査でしか再現出来ません。

※1浸入した雨水などが建物内部の視認確認な位置に出現したところ。
※2雨水などが建物の仕上層より内部に入り込むところ。
※3雨水の侵入の状況が確認、又は、、推察され、更に、雨水浸出が構造物内で視認確認な状態。

今回紹介する２つの事例では、雨漏りの原因を特定できたもの、また、その部位から雨漏りしてないであろうことを証明をできたもの(当該調査条件による)があります。

【事例１】

調査結果＝雨漏り具象再現
建物構造＝鉄骨造3階建て
築年数＝築22年
対象箇所＝3階バルコニー
新築時＝アスファルト防水押えコンクリート仕上げ
現状＝ウレタン塗膜防水密着工法（伸縮目地未処理）
雨漏りの状況＝短時間の雨では漏れないが、長雨、豪雨の時に雨漏りするとのこと

排水ドレンを止水のうえバルコニー全体に水を張って貯水調査を実施。
貯水完了から3時間経過後、雨水浸出を確認。
この建物においては、バルコニーALC壁面からの雨水浸入は確認されなかったため、雨水浸入位置の特定に繋がる。

【事例２】

調査結果＝雨漏り具象再現無し
建物構造＝鉄筋コンクリート造1階建て
築年数＝築50年程度
対象箇所＝屋上
新築時＝アスファルト防水玉砂利押え
現状＝改修履歴無し
雨漏りの状況＝屋上トップライト周辺から雨漏りするとのこと

排水ドレンを止水のうえ屋上全体に水を張って貯水。
貯水完了から24時間観察、雨水浸出確認無し。
その後の散水調査により、屋上トップライト廻りから雨水浸入していることが判明。

上記物件による調査の考察として、貯水調査は雨漏り診断において有効な調査方法の一つであることがわかります。
特に陸屋根面においては、降雨の際には日常的に雨に濡れることから、雨水浸出確認まで時間がかかる（タイムラグがある）雨漏りの場合などに、長雨と同じ状況を再現することが可能です。
過去には、貯水完了から12時間後に雨水浸出を確認したケースもあります。

また、排水ドレンの詰まり等によるオーバーフローによる雨漏りについても再現が可能です。
ただし、雨水浸入位置の特定に関しては、【事例１】のように露出防水の仕様であれば、その後の絞り込みにより可能となりますが、【事例２】のような非露出防水仕上げとなるとこの限りではありません。

貯水調査における雨漏り再現が無い場合においては、当該条件による再現が無いということだけであり、雨漏りしないことの証明とまでは言えないのは事実ですが、状態の確認という意味では最善の方法であると考えています。
いずれにしても、貯水調査の際には、予期せぬ場所からの漏水や、室内への想定以上に多量の漏水がおきる可能性があるので、その点は周到な準備とお客様とのコミュニケーションが必要になってきます。

雨漏りの原因は多種多様であるが故に、私たち雨漏り110番グループは、雨漏り原因の追究、更には雨漏り解決へと導くために、雨漏り診断・雨漏り調査に価値をおき全力で雨漏りと向き合っています。

すべての雨漏りが簡単に解決できるのであれば我々はこの業界には存在していないでしょう。

なぜならば、

・原因のわからない雨漏り
・他業者で直らない雨漏り
・再発する雨漏り
・長年止まらない雨漏り
などなど、毎日のように数多くの雨漏り調査の御用命を頂いています。

我々は止まらない雨漏りは無いと考え、日ごと雨漏りの研究を重ねて参ります。

2019年3月3日
雨漏り110番上尾店
千葉清貴