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雨漏り調査がきっかけで、長いお付き合いに!【雨漏り110番都筑店】

2019.04.13 ビックリ事例,雨漏り予防,建物のメンテナンス,建築構造・建築施工,雨漏り修理,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,雨漏りに取り組む,雨漏り110番グループ,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番都筑店の津嶋が担当します。
よろしくお願いします。

今回は、4年間で都合4回のご相談を受けた賃貸中古マンションについてお話します。
オーナーさんが2013年4月に購入した物件です。
購入から半年後に大量の雨漏りが発生して第1回目が始まりました。

建物概要は以下になります。

建物概要:RC造(鉄筋コンクリート造)地上3階、地下1階 1997年竣工(調査当時で築16年)
建物用途: 賃貸マンション(総戸数12戸)

1階と地下1階の2フロアーを同一人が賃借しています。
その借主は著名な方で、ここで陶芸教室を開いています。
その教室の中央天井に埋込エアコンがありますが、雨漏りは、この埋込エアコンとダウンライトからでした。

雨漏りが発生した2013年は、台風の多い年でした。
その台風が関東を直撃した、9月15日と10月16日に大量の雨漏りが発生しました。
特に2回目の台風時の降水量は、6時間で176㎜という記録的な豪雨でした。
以下に気象庁の過去の気象データ検索より探した10月16日の降水量のグラフを示します。
私は、雨漏り調査に乗り込む前に、過去の気象データ検索をよく利用します。
それは、雨漏り具象を再現するにあたり、散水強度や散水時間のおおよその見当をつけるのに参考になるからです。

さて、現地で埋込エアコン開口部より天井スラブを見ると、35㎝×100㎝のダメ穴がありました。
これはコンクリート打設後に下階で使用した支保工や単管を上階に上げるためのものです。
用済み後に埋め戻ししてありますが、水が入ると、その新旧コンクリートの境界を簡単にすり抜けてしまいます。
よって直上階の床下に大量の雨水が入り、教室の中央のダメ穴に流れ着いて、下階に落水したと推測できます。
少量の雨では、このダメ穴までは届かず、コンクリートに浸透していたことでしょう。
直上階での雨掛り個所は・・・・・ベランダがあります。
ベランダにはエアコンの室外機が置かれて、冷媒管が外壁を貫通して室内に引き込まれています。
配管カバーがありますが、取り外してみると配管パテが収縮硬化しており、大きな隙間が見えます。

外壁は深目地タイル仕上げで、配管カバーとの間には隙間が多く、雨水が入りやすくなっていました。
このようなエアコン冷媒管引込口からの雨水浸入ケースは、実に多くあります。
下図に漏水経路の断面図を示します。
浸入口と浸出口との距離があるために、この雨漏り具象再現には多くの散水時間(合計6時間)を要しましたが、原因究明には比較的優しい方の調査でした。

原因が特定したことから、今後の対策です。
他の部屋も同様の仕様になっていることから、全住戸のエアコン冷媒管引込口の防水処理を提案しました。
補修工事は、雨漏り110番川崎店の内田さんに協力していただきました。

それから2年後の12月23日午前10時頃に、オーナーさんより前回と同じ天井埋込みエアコンから再び漏水が発生したとの電話連絡がありました。

これが2回目のご相談になりました。
その日は、午前中に弱いにわか雨が降っていたとのことでした。
オーナーさんは半月前に台風並みの雨があったので、そのせいではないかと疑っているようでした。
エアコン冷媒管引込口の補修を行ってからは、台風や集中豪雨が数回ありましたが、何も問題なく過ごしてきたので、私は既に解決済みとの認識がありました。
一旦電話を切った後で、前回の報告書を見直して検討したところ、次の点に着目しました。

1.外壁からの雨水浸入のケースでは、外壁と漏水箇所との距離があることから大量の流入がないことには起きえない。にわか雨程度では、起きない。

2.コンクリートというのは、吸水性が多分にあるので少量の水であればコンクリート内に浸透拡散してしまうので流れをつくるまでには至らない。

3.半月前に台風並みの大雨があったが、百歩譲って雨水が浸入したとしても、これほどの長い期間、コンクリート上面に水がとどまることはあり得ない。

4.前回の報告書の考察では、天井スラブにある開口埋戻し痕の新旧コンクリート境界を補修して止水性を高めるという提案は、上階の203号室が空室になることがなかったのでまだ実現できていない。

以上の観点から、今回の漏水は上階の203号室賃借人の何らかの過失で床下に水を漏らしたと推測するのが最も合理性があると考えました。
その旨を、オーナーさんに電話で伝えて、203号室賃借人に問い合わせしてもらいました。

そうすると、漏水が起きたという時間帯にシャワーを使っていたら、ユニットバスの排水口が詰まっていたためにオーバーフローして廊下に流れ出した事故があったということでした。

つまり雨漏りではなく、上階の賃借人の過失だったのです。
浸出箇所や浸出状況が同じでも、その原因は180度違ったというケースでした。
オーナーさんからは、翌日にでもマンション管理会社の担当者と一緒に行って現況を確認して欲しいとの要請がありました。

翌日、現地に行ってみたところ、廊下はまだ湿った状態でした。
ユニットバスはビジネスホテルなどでよく見られるトイレと一体型のタイプです。
賃借人は20代後半の男性でした。
そのユニットバスは入居以来の4年間、掃除など一度もしたことがないだろうという様子が見てとれました。
これでは排水口が詰まっても仕方がないなという、悲惨な状況でした。
トイレも浴槽も、足を置く最小限の場所だけが白くて、そのほかは真っ黒です。
写真がありますが、・・・・・・・・・掲載するのは止めておきましょう。
雨漏り110番コラム愛読者様に、不快な思いをさせるのは忍びないですから。
オーナーさんには、詳細な鑑識写真付きで状況報告を行いました。
その後、オーナーさんはこの賃借人に契約解除の勧告をしたそうです。

大事な部屋をこんなに粗末に扱われていたのですから・・・・・その気持ちは充分に理解できます。
それにしても、陶芸教室の先生も、気の毒です。
これで2回の台風時を含めて3度目の被害者です。
さて、203号室が空室になったタイミングで、かねて提案していたダメ穴埋戻し跡の止水補修と床面の防水処理を実施することになりました。

再び漏水事故があっても下階には落水しないようにするためです。
この工事についても、再び雨漏り110番川崎店の内田さんに協力していただきました。
なお、フローリング撤去後のコンクリートスラブ面には、ダメ穴の他にベランダ側に斜めひび割れを1本確認したので、こちらも補修対象としました。
実は、雨漏り具象再現時に本命の天井埋込エアコン周辺から漏水するよりも前にベランダ側の天井ボードに落水する音を確認していました。
それは、このひび割れから落水したものだったのです。
以下は、工事写真となります。

一般的には、室内の床下に防水処理をすることはありません。
しかし、階下の陶芸教室の先生は3回も漏水害に会われているので、今後は二度と漏水させたくないというオーナーさんの決意があって実現しました。
都合4回の相談のうちのまだ半分ですが、長くなりましたので次回に続くという事に致します。

それにしても、中古物件を購入するというのはかなりのリスクを伴うものだと実感しました。
築16年で、まだ大規模修繕をしていなかったという状態での購入でしたから、難しいですね。
この中古物件は、まだまだ高額な手入れを要求する建物なのです。

2019年4月13日
雨漏り110番都筑店
津嶋信行

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