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連結サッシ(連窓)からの雨漏り事例【雨漏り110番館山店】

2019.04.17 サッシからの雨漏り,建物のメンテナンス,単一雨漏り,雨漏り修理,雨漏り修理の方法,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番館山店の佐々木が担当します。
よろしくお願いします。

今回は連結サッシ(連窓)からの雨漏り事例をご紹介いたします。

【概要】

・建物種別 住宅
・構造 木質パネル工法
・外装仕上げ 外壁 窯業サイディング  屋根 瓦
・築年数 21年

・雨漏り履歴

新築時より5年経過した頃に部屋がかび臭くなり、壁紙に染みが出てきたため、雨漏りの疑いを持ち始め施工業者に連絡。
その後、施工業者によりサッシ周りのシーリングから雨漏りの疑いがあると指摘。
施工業者によりサッシ周りのシーリング補修を行った。

以後、しばらくの間は雨漏りは改善されたように思われたが、西よりの強風が吹き、降水量の多い日に階下の和室の壁に雨漏りが発生。
再び施工業者により、仮設足場を架け修理を行ったが修理の内容は定かではない。

2度目の修理時に雨漏り箇所の石膏ボードを交換、壁のビニールクロスも張り替えたとの事。
その数年後に施工業者より外壁塗装をすれば雨漏りは完全に止まると勧められ外壁の塗り替え工事を行った。

・雨漏り状況 (下記図を参照)

館山店雨漏りコラム02_01

西側に面した洋間で寝室として使用。
2階の窓上1.5m上に出幅600mm軒天。
上下スライド開閉式のサッシが連結して取り付けてある。
洋間の階下には和室
台風や集中豪雨の時に1F和室の天井際の壁に雨漏りが起きるが、風向きによっては雨漏りしない。
過去に3度ほど和室天井際の壁に雨漏りが発生。
通常の雨では雨漏りしない。

・経緯

1度目の外壁塗装工事から11年が過ぎ、外壁のチョーキング現象が進み、板間目地のシーリングの劣化も目立つようになってきたため2度目の外壁塗装工事を検討していた矢先に、当店の折り込みチラシをご覧になられ連絡を頂きました。
塗装工事と一緒に雨漏りを解決したいとのご要望で、雨漏り110番に加盟している当店にご依頼を賜りました。

・雨漏り調査

外壁塗装にともない雨漏り調査の依頼を受け、詳しい経緯などをお聞きした結果、長時間雨が降り続いても風向きよっては雨漏りが発生しないことや、南西、もしくは西風が強く雨量が少ない時なども雨漏りが発生しない。
また、ガラスに叩きつけるような横殴りの雨が降っても長時間降り続けなければ雨漏りは発生せず、雨が降った数日後に寝室がかび臭くなるということ。
過去に西風が強く吹き、ガラスに叩きつけるような豪雨が長時間続いたときに階下の和室の壁に雨漏りが発生。

このことから、寝室西側の上下スライド式連結サッシからの雨水の侵入の可能性が高いと仮説を立てるが、もう一つ、窓上部の板間目地のシール剥離部分からの侵入もあり得る。
ただここからの侵入の場合、サッシ窓枠からの雨水浸出があるはずなのだが、過去にその経緯は無いため可能性は低いと思われる。
横殴りの長時間の雨が降り続いたときだけ雨水の浸出が確認されていることから、サッシ周りのシーリング不具合、サッシの連結施工の不備の可能性が高いと推測。

・雨漏り調査の実施

雨漏り調査と共に外壁塗装も行うことで足場を設置。

雨漏り調査を開始するにあたり、強風と豪雨の想定をもとに行うわけですが、長時間にわたる散水調査で大量の水を建物内に入れたくないこと、大量の水を建物内に入れることにより、2次被害につながる恐れがあるため、出来る限り少量の水で雨漏り具象を確認できればとの思いがあります。

寝室西側の内壁クロスのカビによる黒ずみや吸水によるボードの劣化等がありましたので、ボードの部分補修とクロスの張り替えを提案させていただきました。
お客様も納得されボードを剥がすことの許可を頂きました。

連結サッシの下のボードをはがし、断熱材を取り除いた画像です。

連結部の真下の構造合板が真っ黒に腐食しているのがわかります。

先ずはサッシ自体の不具合の確認の為にレールの貯水試験を行いました。

ペットボトルで水を流し入れサッシレールの溝に水を貯めます。

1時間様子を見るも漏水の確認は無し。

次に連結サッシ上部左右に1時間の散水

結果 漏水の確認なし

連結サッシの結合部に散水

数秒後に漏水を確認

※漏水が早かったため散水している写真を撮り忘れました。

その後、サッシ上部の板間目地に1時間散水。

調査を終えた連結サッシに水がかからないようにしっかり養生してから行います。

結果 漏水の確認なし。

左斜め上の飾りサッシ脇に1時間散水。

結果 漏水の確認なし。

この散水調査により、連結サッシの連結部に雨水侵入位置があることが時間を要さずに判明しました。

もし、ボードをはがさず散水調査を行っていたとしたら、相当な量の水を建物内に入れなければ漏水を確認できなかったと思います。

・雨漏り原因特定

散水調査の結果からこの案件の雨漏りのメカニズムは、調査前の仮説の通り、サッシ連結部に不具合があり、横殴りの雨が長時間にわたり降り続くことにより、侵入した雨水が構造合板の内側を伝わり構造合板と内壁ボードの間に設置された断熱材の断面から水を吸い上げ、溜まった水があふれ出て、階下の和室の壁に浸出していることがわかりました。
連結サッシの上部には軒天が幅600mm程出ており、雨量が多くとも叩き付けるほどの風が吹いていなければ、連結サッシに雨水が当たることも無かったために、漏水が起こらなかったのだと推測できます。

しかしながら、少量の雨でも風向きによっては建物内部に雨水が侵入していたようで、長年の間に侵入した雨水により構造合板の腐食につながったものと思われます。

・対策・修理方法

この事案においては、サッシ連結部の不具合が雨漏りの原因でありサッシ下の構造合板の腐食、連結部の不具合などを修理するために、外壁サイディングの張り替え、連結サッシの取り外し、構造合板の張り替えなどが必要になるが、予算的な問題もあり、お施主様と協議の結果、予算を抑えた修理方法を選択。

連結部からの雨水の侵入を防ぐために、シーリング処理だけに頼った施工では十分な厚みが確保できず、数年後には破断し雨漏り再発の恐れがあります。
そこで考えたのが、連結部に捨てシーリングを打ち、その上からアルミの平板をタップビスで止める方法を提案させていただきました。

後日、確認のため散水調査を実施

約1時間散水をしましたが漏水は発生しませんでした。

連結部にビス止めした平板もアルミ専用のプライマーを塗装後にブラックで塗装。
外壁塗装も無事に終了し、サッシの美観を損なうことなく工事は完了。

構造合板の負傷箇所は内部から補強を行い、断熱材の復旧、石膏ボードの補修、ビニールクロスの西面の張り替えを行いました。

「長年の間、雨漏りが心配で雨が降るたびに風向きを気にしていましたが、これからは安心して生活が送れます」と、お施主様にも大変喜んで頂きました。

以上、本日は館山店の佐々木が担当させていただきました。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

2019年4月17日
雨漏り110番館山店
佐々木恒治

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