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鉄骨造・ALC版塗装仕上げの複数侵入雨漏り事例1【雨漏り110番田端店】

2019.05.13 プロフェッショナルとして,正しい知識,建築構造・建築施工,複数浸入雨漏り,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,雨漏り110番グループ,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番田端店の志村が担当いたします。
よろしくお願いいたします。

弊社にいただく雨漏りのお問い合わせ・ご相談で、木造と並んで多いのが鉄骨造の建物です。
今回は、鉄骨ALC造4階建ての物件で発生した複数浸入雨漏りの事例をご紹介します。

お客様から雨漏り調査についてお問い合わせいただき、詳しく状況をお聞きしました。

【用途】
集合住宅 1~2階賃貸物件 3~4階オーナー様住居
【構造】
鉄骨ALC造 4階建て
【築年数】
28年
【外壁】
ALC(軽量気泡コンクリート)造 吹付タイル 塗装仕上げ
【漏水箇所】
2階賃貸天井
【改修履歴】
・3年ほど前に建物建築業者にて2度目の外壁工事を行ったが、1年ほど前より2階賃貸物件の天井に雨漏りが発生。
・同建築業者にて、複数回外壁の部分シーリング補修工事を実施。しかし、現在も台風などの雨量の多い時に雨漏りが起こっている。

一旦は現地調査のご依頼を受けましたが、翌日ご友人でもあるご近所の建築業者で建てた建物のため、よその業者が出入りするのを見られることにためらいを感じるので、再度その建築業者に相談してみてからにさせてほしいとのご連絡がありました。
そして再度建築業者に相談されたものの『手を尽くしたが雨漏りの原因がわからない、エクステリアを取付けるくらいしか提案できない』との返答だったため、別の雨漏り業者に依頼します、とお話されたそうです。

このように、他業者で調査や施工を繰り返しても雨漏りの原因特定することができず、オーナー様がワラにもすがる思いで私たち雨漏り110番グループにご相談をいただくケースがかなりございます。

弊社にご相談いただくまでの間、オーナー様をはじめ施工業者の方々も大変なご苦労とお悩みの日々であったかと思います。

繰り返し雨漏りが発生しているケースには以下のような理由が考えられます。
① 雨漏りの原因が改善されていない。
② 一つの原因は改善しているが、他にも原因が残っている。
③ 改善させた部分に再び不具合が発生している。

① の場合は、雨漏りの原因の見極めが間違っていた、または原因箇所の処置は行っておらず無関係の場所を補修していた、などです。原因が改善されていないので補修前と状況が変わらず、当然雨漏りが止まることはありません。
② の場合は、いかにも怪しい箇所があったので簡易補修などで対応、補修箇所自体は間違っていないのでそこだけは雨漏りが止まったり、雨水浸出量が減ったりはするけれど、他にも原因が残っているため、完全には雨漏りが直らない「複数浸入雨漏り」のケース。
③ の場合は、雨水侵入位置を確定しその部位の適正処理を行っており、しばらくは雨漏りが改善されていたが、経年とともに再発するケースです。挙動箇所部分が原因だった場合などにその傾向が多く見られます。補修後数年で雨漏りが再発した場合は原因箇所の再確認が必要です。
このようなことをふまえて、現地調査をいたしました。

<雨漏り箇所>
◆2階建物の裏面に位置する部屋の天井
※直上は3階バルコニーとなっています。

<状況>
◆一年前に、豪雨を伴う台風の日に雨漏りが発生。

◆建築業者に相談し、外部のひび割れ、窓周り等の調査を行い、ALC外壁に割れが確認されたことから、数日かけてシーリング補修を施工。
この時点では雨漏りは止まったと考えられていました。

<2回目の雨漏り>
◆今回も台風による大雨で雨漏りが再発。

◆建築業者に相談、再び外部のシーリング補修を実施。
しかし雨漏りの原因を特定するまでには至らず、しばらく様子を見ることとなりました。

<3回目の雨漏り>
◆それ以降も台風や集中豪雨の際に同じ場所から度々雨漏りが発生。

建築業者に相談したところ、手を打てる箇所は全てやり尽くした、あとは3階ベランダにエクステリアの庇を取り付けてみてはどうか。
ただし、庇を取り付けたとしても雨漏りが止まる保証はできない、と言われたそうです。

<雨漏り110番田端店へのご相談>
建築業者のこれまでの対応への不満と不信感から、インターネットなどで別の業者を探され、雨漏り専門業者である私ども雨漏り110番田端店に調査のご依頼をいただくことになりました。

<弊社による調査開始>
まずは現地調査とヒアリングから始めます。
雨漏り原因の特定には知識と経験が必要になりますので、実際の現場を生で見ること、状況をしっかり聞かせていただくことが非常に重要です。

現地調査により、当初は部屋の天井一箇所のみの雨漏りと思われていましたが、押し入れ内部にも雨漏りが発生していることが確認できました。

<現地の状況>
2階の直上が3階ベランダであることから、2階ユニットバスの天井点検口より天井裏を確認しましたが、梁などがあり、雨水浸出位置の天井裏までは目視で確認できませんでした。

次に、一般的なケースでは外壁ALCの不具合が考えられるため、建築業者が施工したシーリング材の状態を確認したところ、それほどの傷みは見受けられませんでした。

写真の通り、あちらこちらに網目のように修理跡があります。前述の建築業者もかなり苦労して修理された様子です。

ちょうどこの現場調査の日は雨が降っており、雨水の浸入を実際に確認することができました。
また、雨が止んだ後は比較的短時間で雨水の浸入が止まることが分かりました。

ベランダ床も防水工事が施されていますが、不具合箇所も存在しています。

次に梯子をかけ、押し入れ外側壁を確認すると、ALC版にこのようなひび割れが確認できます。

この建物のような鉄骨造の場合は、基本的に二次防水層(壁内側における防水)が存在しないため、外壁のシーリングや外壁塗膜である一次防水(表層の防水)の不具合は、そのまま致命的な雨漏りの原因になり得ます。

ちなみにこちらの新築ALC造の写真をご覧ください。
厚さ100mmのALC版です。

上の写真は現在のALCパネル版になりますが、20数年前ではALC版とALC版の隙間をモルタルで充填することで強度がでると思われていた時期もあり、その時期のALC造は建物の挙動があると、隙間のモルタルが障害となり、より多くのひび割れを誘発させてしまっています。

20数年前のALC造の開口部写真になります。

ALC版の丸い隙間にモルタルが充填されているのが確認できます。
これでは建物挙動によりALC版にひび割れが発生しやすくなってしまいます。

ALC版はパネルですから継ぎ目が存在し、建材的には柔らかいため、外力(地震や振動など)の影響で挙動します。
その挙動幅が大きいとパネル同士の動きにより、パネル自体が割れたり欠損が生じたりします。

外壁仕上げが塗装ならばひび割れや欠損が発生し、タイルを貼っている場合は、挙動の影響でタイルが剥離し落下したりもします。
これがALC版の特徴になります。

<仮説を立てる>
ある程度のひび割れは前述の建築業者が補修を行っており、その部分からの雨漏りの可能性は少ないと判断し、それ以外に雨水浸入位置が存在する「複数浸入雨漏り」 と想定、散水調査のご提案をさせていただきました。

こちらの物件のように原因特定をしないまま、ただ闇雲に補修をしても、もし他に原因が存在していれば、結果的に何度も雨漏りを繰り返すことになってしまいます。
今回は私共の散水調査の重要性をご理解いただき、調査を実施することとなりました。

続いて散水調査のお話になり、私共の散水調査で複数箇所からの雨水の侵入が明らかになります。

少々長くなってしまいましたので今日のところはここまで。
この続きは次回のコラムでお話しさせていただきます。(2019年6月中旬に掲載予定)

最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。

2019年5月13日
雨漏り110番田端店
志村徳彦

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