本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番岩手店の菊池が担当します。
宜しくお願いします。

当社のような雨漏り修理業者には、住宅や施設関係の主に居室に発生した雨漏り案件が多く寄せられます。

しかし、今回は少々特殊な建物に生じた雨漏り案件をご紹介します。

６階建の自走式駐車場の最上階天井に生じた雨漏りです。

建物概観

階上（屋上）も駐車場となっており、その床が階下の屋根となっております。

漏水状況

建物の用途上からは完全な防水が必要かどうか微妙ではあります（事実、外壁面は開放となっており、強風を伴った降雨時は吹き込んできます）。

が、「天井面に設置してある火災報知器の誤差動及び照明の漏電事故の危惧がある」とのことでの出動要請をいただきました。

概要

・建物用途：駐車場
・建物構造：鉄骨造６階建
・外装材：ALC
・屋上防水：アスファルト防水押さえ工法
・築年数：約３０年

ヒアリングと竣工図面の確認、現地目視調査、そして経年時から、下地防水の劣化であると推測しました。

防水層であるアスファルトが経年により劣化、床スラブのクラック等より階下に漏水。こういったメカニズムと思われます。その場合、屋上防水層の劣化に伴う全面防水改修工事。一般的にはこのような流れが定番です。

しかし、この建物の用途を考慮すると、コトは単純ではないのです。

通常の建築防水工法に求められるのは、殆ど防水性能のみといってもよいかもしれません。

プラス　歩行・非方向の別、それに衣裳程度でしょうか。

当該施設は自走式の駐車場ということで、不特定多数の自動車が走行します。

よって

1.自動車の積載荷重に対する強度
2.同じく耐摩耗性・耐久性
3.スリップ事故を防ぐための防滑性

少なくとも、この３条件を満たす工法でなければなりません。

３に関しては私自身が恐怖を覚えたことがありました。盛岡の某デパート立体駐車場でのことです。寒さ厳しい２月でした。路面が凍りつく状況下、下りのスロープをそろそろと降りてきたのですが、右急カーブで氷溜りを前輪が拾ってスリップ、意図せず直進状態となり、よりによって向かい側に駐車していたのがレクサスの大型セダン。何とか数センチ手前で停止できたのですが、高級車特有のいかつい目つきも相まって、鼓動の高鳴り感じながら、軽バンで現場を後にしたのです。

閑話休題

建築防水工法を大きく分けると２種類になります。

・露出工法
・保護押さえ工法

文字通り露出工法は外面にシートや塗膜で覆います。対して押さえ工法は躯体に防水をかけ、その上にコンクリート（古くはシンダーコンクリート）等の保護層を乗せたサンドイッチ構造となります。

一般的には露出工法が主流です。

低コストで工期も短く、メンテナンスや補修も容易です。弱点は、紫外線等の劣化要因に常に晒されているため、耐久性に劣ります。

一方、保護押さえ工法は、だいたいこの逆になります。

保護押さえ工法で特に問題なのは、直接的な防水層のメンテナンスが実質不可能ということです。

何しろ防水層が隠れてますので、劣化状況も見えませんし、よって部分補修も出来ません。

そして、一般的にはこの押さえ工法も、改修時には露出工法を採用せざるを得ません。保護層の上に防水を掛けるという事になります。

しかし、当該建物には前述したような強度や耐摩耗性、防滑性が必須です。露出防水層では、これらの条件を満たせないのです。

そこで、当社が提案した工法は、押さえ防水層を復活させるものでした。

押さえ層下まで穿孔し、樹脂液体防水材を注入。樹脂の圧入により、破断した空隙漏水部に充填されて、防水性能を復活させるというものです。

注入状況

注入跡

漏水部閉塞状況

工法の詳細は下記でご覧下さい。

http://naruphalt.com/products/waterproof_into/images/naruright/ナルライト注入用説明資料一式141001.pdf

という事で、一般的には困難な『防水性能の復活及び強度の維持』という難題をクリアすることが出来ました。

私達、雨漏り110番グループはお客様のご要望と現状の劣化状況を踏まえ、常に最善のご提案を心掛けております。雨漏り案件及び建物の保護の面からも、是非お声掛けください。問題解決に向けて、全力で取り組ませていただきます。

2019年5月16日
雨漏り110番岩手店
菊池裕悟