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RC造戸建て住宅の雨漏り調査事例【雨漏り110番調布店】
本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番調布店の今野が担当します。
今回は、RC造戸建て住宅の雨漏り調査事例について紹介をさせていただきます。
建物概要は・・・鉄筋コンクリート造、タイル貼り2階建て、築造30年の戸建て住宅。内装リフォーム工事の際、降雨後床への浸みだしに気付いたとしてお問い合わせをいただきました。
ヒアリング調査により居室コーナー際のコンセントから浸出していることを確認、散水調査の提案を行い実施することとなりました。
浸出位置は2階バルコニーに面した居室の角部。
浸出面の外壁上部にはアンテナが設置されており、外壁はタイル貼りで上部立ち上がり部は斜壁形状のうえ目地モルタルの欠損が著しい。
浸出位置の側部外壁にはバルコニー手摺腰壁の取り合い、また上部には屋根内樋排水ドレンの貫通部、その横にはバルコニーに出入りするための開口部(ドア)がある。
今回は面に分け散水し、浸出確認を行ってから絞り込んでいくことにしました。
① 浸出面側外壁タイル上部天端、外壁タイル、側部面側下部手摺腰壁取り合い及び屋根内樋排水ドレン口、外壁ドレン貫通部へ散水
60分で当該浸出位置(居室内コンセント)への浸出を確認
② 浸出した散水範囲へ水がかからないように養生を施し、側部側バルコニードア上部斜壁タイルへ散水。
60分散水したが浸出している試験水の落滴間隔が次第に遅くなったことから浸出していないものと判断
③ 浸出面側上部側部斜壁タイル、下部手摺腰壁取り合い及び外壁ドレン貫通部へ散水
60分で落滴間隔が5分から1分になったことを確認
④ 浸出位置側部の手摺腰壁取り合いへ散水
70分で落滴間隔が2分から1分になったことを確認
⑤ 浸出面側外壁タイル上部、アンテナ設置部へ散水
50分で落滴間隔が2分から1分になったことを確認
⑥ 屋根内樋排水ドレン口へ散水
5分で連続的な落滴間隔になったことを確認
調査の結果、本件の雨漏り具象は、複数の雨水浸入位置が存在する複数浸入雨漏りであり①2階陸屋根排水ドレン、②外壁タイル目地(貫通部)、③手摺腰壁取り合いなどから浸水した雨水がコンクリート躯体の不具合箇所(クラックやジャンカ)などに浸入し、躯体内の配管を伝いコンセントボックス部分から床に流れ落ち、当該雨漏り具象の雨水浸出位置(居室床)まで到達しているものと推測しました。
当該雨漏りのメカニズムは下記の経路となります。
雨漏りの原因とメカニズム(仮説)としては、大雨・豪雨の際に2階陸屋根及び外壁に大量の雨が当たる→2階屋根排水ドレン及び外壁に大量の雨水が流れる→排水ドレンの不具合箇所及び外壁タイル目地から雨水が浸水する→浸水した雨水がコンクリート躯体の不具合箇所に浸入し、躯体内の配管に到達→配管を伝いコンセントボックスに流れる→コンセントボックスに流れ込んだ雨水が床面へ流れ落ちる→流れ落ちた雨水が当該雨漏り具象の雨水浸出位置(居室床)から浸出しているものと想定。
本来であれば、外壁における貫通部や設置物に対する絞り込みを行うのですが、構造取り合いや壁面での浸出を確認していること、またタイル目地部の劣化欠損が顕著であることから、原因箇所の補修はもとより一定範囲の外壁面に対する防水補修工事の提案を行いました。
散水調査においてタイル貼り外壁における養生は、目地部に対する止水(埋め込み)や目地部からの浸透の問題もあることから大変難しく、最下部の原因箇所の特定とともに上部を含む一定範囲の防水補修工事が必要になります。
今後も原因箇所の特定調査をもとに、雨漏りを確実に止めるための提案を心掛けていきたいと思います。
2019年10月25日
雨漏り110番調布店
今野昇