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雨漏り解決にはエビデンスが必要【雨漏り110番藤沢店】

2019.10.29 他の業者が止められなかった雨漏り,神の目,プロフェッショナルとして,正しい知識,メディア・取材・出版,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,雨漏り110番グループ,コラム

本日の雨漏り110番コラムは、雨漏り110番藤沢店の原田が担当します。

●「雨漏り事件簿」読者がお問い合わせに!
私ども雨漏り110番グループで、「雨漏り事件簿」という書籍を上梓しています。専門書の類なので、書店で目にすることはほとんどないのですが。
ところが、過日、「雨漏り事件簿を読んだ」という方から雨漏りの問い合わせがあったのです。その方は、我々とは何の接点もない一般の方で、長年雨漏りに悩んでおられたところ、たまたま書店で雨漏り事件簿なる本を見かけ、購入し、熟読され、「我が意を得たり」という気持ちになって、問い合わせたと言うのです。
これには、いろいろな点から驚かされました。まず、あの書籍を書店にて購入された一般の方がいらっしゃるということ。かくいう私もわずかに執筆に携わっておりますが、書かせていただいておきながら、業界関係者以外の一般の方が、購入してまでお読みいただけるなど、ゆめゆめ思っておりませんでした。さらには、熟読され、ご関心を持たれたということ、そして、そのきっかけでお問い合わせをくださったということ。我々の書籍のどういった点が、建築とはまったく縁のない方の琴線に触れたのか、とても興味がわいてきました。そして、ぜひともお伺いしたいと思うようになったのです。

●雨漏り解決へのガイドラインの少なさ
しばらくして、その方のお宅に、雨漏りの予備調査としてお伺いしました。もちろん、メインの業務は、実際に起きている雨漏りの解決に向けたアプローチですので、まずは、散水調査のプランを立てるために、ヒアリングを行い、そのお話を元に、現状をくまなく確認させていただきました。そして、当該雨漏りに関する下調べが一通り終わったあとで、その方に、雨漏りに関するイメージや、書籍、ならびに我々に対する思いなどを、詳しくお聞かせいただきました。
そのお宅は築20年余りで、かつて雨漏りしたときに補修をしてもらったものの、数年を経てまた雨漏りしてしまったということでした。そこで、そもそも、数年前の補修によって本当に雨漏りしなくなったのかという疑問がわき、雨漏り解決に向けてのガイドラインになるような文献がないかと、探しておられたそうです。
雨漏りがテーマの書籍は、そう多くありません。試しに、Amazonなどで「雨漏り」というキーワードで書籍を検索していただくと、その少なさがお分かりになるでしょう。そんな中、手前味噌ですが、雨漏りの実例の多さと、その解決に向けてのプロセスが掲載されている点においては、拙著が最も長けていると思っています。事実、著者の立場として、この本は、実務者や業界関係者というより、雨漏りで困っておられる、建物オーナーなどの当事者の方に読んでいただきたいと思って作ったものです。そんなことから、こういったお気持ちを聞かせていただき、少し感激してしまいました。

●雨漏り修理にはエビデンスがない?
その方は、こうも言っておられました。雨漏りを修理したときに、雨漏りが解決したかを自ら確認する方法はないのか、と。その回答に最も近い文献が、実例を豊富に載せている拙著だったようです。
そうなんです。雨漏り修理が他の建築工事と最も異なる点は、成果が視認できないことなのです。
新築・増改築・リフォームなど、一般的な建築工事では、工事が終われば、施工前と施工後での明らかな違いを、目で見て確認することができます。かたや、雨漏りは、対応する工事が終わったからといって、何かが変わったと実感することはないでしょう。ましてや、そもそも年に数回しか雨漏りが発生していなかったとすれば、その条件に見合った降雨があるまで、実施された雨漏り修理が有益だったかを確認する術がないのです。すなわち、『エビデンス』がないのです。

●エビデンスについて
エビデンスについて、ウィキペディアにはこう記載されています。
『一般には、医学および保健医療の分野では、ある治療法がある病気・怪我・症状に対して、効果があることを示す証拠や検証結果・臨床結果を指す。エビデンスは、医療行為において治療法を選択する際「確率的な情報」として、少しでも多くの患者にとって安全で効果のある治療方法を選ぶ際に指針として利用される。』
『つまり、「この患者はAという病気である確率がoo%。このAという病気をoo%でもつ患者にB治療法はXX%の確率で効果がある」として、他の治療法と比べて最も効果のある治療法を選択する際の基準選に利用される。言いかえれば、患者の治療に際して、効果の確率(効果量effect size)を知るための手段がエビデンスであり、この効果量がどの程度の確率で正しいかを知るための手段の客観的な基準がエビデンスである。』
要するに、確たる証拠がなく、確実にその症状が軽減されるかが不明であるという状況でも、確率などを提示しながら、提供するアプローチが有益であるということを示す根拠のことを、エビデンスと言っているのです。

●雨漏り修理と医療行為の類似性
エビデンスを説明するのに、医療における意味合いを挙げましたが、くしくも、雨漏りに対するアプローチは、医療におけるそれと、とても類似しています。
病気やケガを治療するにあたり、薬を処方したり、重症の場合には手術を行ったりしますが、患者は、その行為の直後に、症状がよくなったと実感することはほとんどないでしょう。痛み止め以外の薬は効果が発揮されるまでに時間がかかりますし、手術直後に変化があるとすれば、手術をしたことによる傷や痛みです。体調がよくなったと実感するのは、医療行為を行ってからしばらく経過した後なのです。しかも、体調が回復した理由が、医療行為によるものか、自身の自然治癒力によるものなのかを明確に判断することなど不可能です。
雨漏り修理も一緒です。繰り返しになりますが、雨漏りに対して行った施策が効果的であったか否かは、施工前に雨漏りした際の降雨状況と似たような天候になるまでわからないのです。
また、商行為としての観点においては、さらに問題をややこしくします。医療行為も雨漏り修理も、「やってみなければわからない」要素が多いのが特徴です。したがって、どの程度の費用がかかるのか、事前には確定しないのです。医療行為に関し、我が国においては、国民皆保険制度が充実しているため、保険の適用外である自由診療を除けば、およそ患者の予想の範囲内で費用がおさまります。反面、雨漏りの修理には保険制度がないため[*]、依頼者の想像を超える費用が発生してしまう場合がありえるのです。[*]火災保険の風災・雹(ひょう)災・雪災特約においては、雨漏りの原因が防風・雹・豪雪によると立証されなければ保険金は下りません。
重要なので強調しますが、雨漏り修理のアプローチは医療行為に近い思考が必要であり、そうでないと直りません。ですから、事前に金額を確定することは困難であるため、費用を比較するのに複数の業者から相見積を取ることは意味をなしません。医者にかかるのに事前に見積を取らないのと一緒です。

本来であれば、これより、エビデンスを構築しての、雨漏り解決に向けた具体的なプロセスをご紹介したいところですが、スペースの都合もあり、割愛させていただきました。また、何かの機会にお伝えできればと思っています。

2019年10月29日
雨漏り110番藤沢店
原田芳一

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