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災害級の台風と雨漏り【雨漏り110番大田店】

2019.10.31 プロフェッショナルとして,正しい知識,家を守るために,台風,雨漏りに取り組む,コラム

※台風15号、台風19号で被害を受けた方、怪我やお亡くなりになった方に心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。※

こんにちは。今日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番大田店の倉方康幸が担当します。よろしくお願い申し上げます。

暑い夏もようやく終わりを告げて秋の気配がやってきたと思ったらとんでもないモノまでやってきてしまいました。台風15号と台風19号です。このコラムを書いているのはちょうど台風19号が東日本を縦断してから1週間後の10月18日です。

台風15号、9月9日月曜日の夜中に関東地方に接近しました。台風が近づく3日ほど前には台風の情報はあまり報道されず、大きさもコンパクトということもあってそれほど警戒することでもないような感じでした。それが、接近2日前になって急に『災害級の被害が発生する可能性がある』と変わってきました。
これにはびっくりしました。外装工事を生業としている私どもは仮設足場というものをお客様の建物に架けて外装工事を施工します。そこにはメッシュシートという飛散防止養生を目的としたシートを張っています。このシートが台風や強風のときに風を受けて仮設足場を崩壊してしまう可能性があるので台風に限らず、強風が懸念される場合はメッシュシートを畳んで仮設足場になるべく風の影響を受けないようにします。
この作業、畳むだけではなく、台風や強風が去ったときにはまた開きます。この一連の作業で約1日はロスとなります。もっとも、この作業を怠ったために足場が崩壊してしまったら1日のロスでは済まない代償を払わなければいけませんので、台風の度、強風の度に畳んで、開いてということをします。もはやこれは外装工事を生業としているモノとしては当たり前として捉えています。

今回の台風15号の時もいつもと同様にメッシュシートを畳む計画でしたが、災害級となると話は違います。メッシュシートを畳むだけではちょっと不安です。足場の補強も含めた対策が必要となります。そうした事前の備えがあったためか、たまたま風が現場付近は弱かったのかは不明ですが、幸いにも台風15号や19号での足場被害、お客様への被害はありませんでした。

しかしながら、台風15号では瞬間最大風速50m以上などという強風が吹き荒れ、車や屋根が飛ばされ、ゴルフ場の鉄塔が倒れる自体も発生しました。

私のお客様でも窓ガラスが割れて室内が水浸しになってしまったり、棟板金が飛んでしまった、屋根がめくれあがってしまった、という自体が発生していました。また、新規の雨漏りのお問い合わせも急増し、未だにお待ちいただいている状況です。

そうしている間に今回、台風19号がやってきました。今回は上陸3日前から気象庁が記者会見をするなど、台風15号の教訓からでしょうか、早め早めの対策を促していました。そしてやってきた10月12日、朝から台風独特の強弱をつけた雨が降り続きました。その雨量は想像をはるかに超える量で多くの河川が氾濫、決壊し、建物だけでなく人的被害が多く発生してしまいました。

まさに災害です。台風15号では強風が吹き荒れ、台風19号では尋常ではない雨量。こんなとき、建物って雨漏りしないのでしょうか?雨漏りを直すことを生業としている私がこんな事を言うのは間違っているのかもしれませんが、木造住宅を例にして考えてみるとモルタル外壁のお家で、モルタルの上には塗装という一次防水、下にはアスファルトフェルトという二次防水があります。この施工が完璧であれば絶対に雨漏りしないのでしょうか?瓦が飛んでしまったのは瓦の施工に不備があったからなのでしょうか?きっとそんな事ありませんよね。ということは建物を作るときにしっかりとした施工をしても設計上の数値(風や雨量、またはその両方や時間)を超える力がその部位にかかったとしたらどうなるでしょうか?

瓦は設計上の数値を超えたから飛んでしまったといえます。もちろん、漆喰の劣化や瓦桟の劣化もあったとは思いますが、あの重たい瓦が飛ばされる。そんな強風が吹いたあの台風はすでに設計上の数値を超えた力があったと思います。

では雨漏りはどうでしょうか?先の二次防水の設計上の負荷を超えた力がかかったらやっぱり雨漏りしてしまうのではないでしょうか。

私はよく『建物は潜水艦ではありません』とお客様にお話します。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、どんな建物でも異種の建材が組み合わさって建物を形成しています。どんなに屋上防水が完璧でもその防水を超えた部位まで水が溜まってしまえば雨水は建物に浸入します。この超えた部位まで水が溜まってしまう。また通常では絶対に雨が当たらない部位に雨が当たる。想像を絶するほど強い風と雨が外壁を濡らし続ける。どうでしょうか。こんな状態になったら雨漏りしてしまうのではないでしょうか。

気象条件は確かに凶暴化している私は感じます。猛暑による熱中症の患者さんは今年5月から8月までで61,000人以上が救急搬送させています。まさに災害ですよね。それに伴い毎年梅雨後半に起きる豪雨災害や去年大阪を襲った台風21号、その後の台風24号、そして今年の台風15号、19号と建物の被害もさることながら人的被害も多く発生しています。気象条件が凶暴化している昨今、建物は今まで通りの設計、仕様で本当に雨漏りは防げるのでしょうか。

例えば、コロニアル屋根が私達大田区近辺ではではスタンダード的な屋根材となっていますが、この棟板金が飛んでしまうという事が毎年発生しています。もちろん、毎年同じお家が発生しているということではないですが、ある一定の年数が経ったお宅で多く発生しています。もちろん修理するのですが、その修理方法は前回と同じ施工と同じ仕様です。棟板金の収め方は間違っていなくても一定の年月、一定の力が加わると飛んでしまう。
もし仮に新築時、施工上のミスがなく、災害級の力が加わったことによって雨漏りが発生したとしたら、いままでの修理の方法でいいのでしょうか。仮にこの雨漏りを修理してまた災害級の力が加わって雨漏りしたらそれは雨漏り再発となってしまうのでしょうか。

いままでの雨漏りは施工上のミス、瑕疵、不合理な収め方、経年劣化などが原因で雨漏りしている案件を修理してきました。もちろん、これからもそういった案件が大多数であることは変わらないと思いますが、もう一歩踏み込んで災害級の力加わったときの雨漏りはどう修理をするのか?今までの修理方法では修理とならないかもしれない。もっというとそれは雨漏りなのか?それとも災害なのか?という部分まで踏み込んで考えなくてはいけないときに来ているのではないか。

そんなことを考えさせられた台風15号、19号でした。

PS.台風19号が来襲した10月12日は私達の地元では池上本門寺さんで『お会式』というお祭り?(日蓮上人様の供養)が毎年開催されています。万灯行列の迫力、纏衆や太鼓衆の行列が好きで子供の頃から毎年楽しみにしていました。それが今年は中止。露天商もすべてなし。ガランとした10月12日の池上を見るのははじめてでした。そんな中、私はと言うと朝から会社にこもって溜まりにたまっているお見積りと格闘していました。そして夕方、風が強くなってきたなと思っていたら長男が会社にやってきて『多摩川氾濫しそうなのに何やってんの!早く逃げる準備しないと!』と怒られてしまいました。朝からテレビをつけて逐一情報は入れているつもりでしたが、まさか多摩川氾濫とは思ってもみない自体にちょっと驚いてしまいました。それからあわてて会社にあるデータサーバー、パソコン、資料、お預かりしている図面などを自宅に避難させました。(自宅はマンションの3階です)そして二子玉川のあたりでは多摩川が氾濫。高津区の方でも氾濫してしまいました。今回、たまたま家の近くで多摩川が氾濫、決壊しなかったからよかったものの、もし決壊していたら会社も浸水してしまっただろうと思いました。正常化バイアスという言葉があります。自分は大丈夫という不確かな心理が私にも働いていた事を気づかせてくれました。

ちょっと余談も入ってしまいました。今日もお付き合いいただきありがとうございました。

2019年10月31日
雨漏り110番大田店
倉方康幸

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