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雨漏りにルールなし【雨漏り110番小田原店】
本日の雨漏り110番コラムは小田原店の片山が担当します。
宜しくお願いします。
住環境におけるストレスのうちでも特に有名である雨漏りという事象。
賃貸借・自己所有を問わず、起きてしまえばそのストレスは多大なものであるとお察し致します。
言うまでもありませんが日本には四季があり、それぞれの季節に応じた降雨のありかたがございます。春はしとしと~サーッと降るような春時雨、夏は雷雨が多くなります。秋は台風もありますがススキ梅雨などと言われる長雨が特徴的です。変わって冬は雪のイメージとなりますが、雨も時々降ったり止んだりみぞれだったりと、少ないにせよ降雨量は観測されています。
日照りつづきの稲作では恵みの雨であるはずですが、限度を超えた降雨量ではその作物までダメになってしまうことも多々あるようです。
これは建造物にもいえる事であり豪雨の場合、降雨強度(降雨量/1h)×排水能力などの関係性で貯水状態になったり、水圧や毛細管現象から直接雨漏りをするようになり得ます。
このような雨漏りですが原因は実に様々であり、なにも豪雨だけが悪の根源とは言い切れません。
というのも、
『台風のような風雨で起きる漏水』
『しとしと雨でも起きる漏水』
『雨の翌日以降に起きる漏水』
『同じ降雨環境でも出るか否かわからない漏水』
『雪が降った翌日から発生するすが漏れ』
など、数多くの現れ方をする事もあるからです。
また、『寒い時期にだけ起きる』内部結露による漏水事象にも直面したこともあります。
おそらくこれは寒暖差による水分子が気体とはならず『水として』流出する事象でありますから、多くの小屋裏もしくは壁内で起きている物と推測致します。
いずれにしても雨漏りないし漏水事象にはこれといったルールがなく、答えが導き出し難いというのが現状であります。
どこから・どうやって・いつの間に流れて来たのか・・・。神出鬼没と言ったら大げさかもしれませんが、ほぼ全ての雨漏り物件では深慮遠謀を重ね、根を詰め続けていることから、この事象を『妖怪という存在』として対峙するようになりました。
建物の構造を理解しているつもりでも、漏水調査や改修時においては、建築時の工程全貌を知る事はまずできません。そして何より、雨漏りを引き起すのは新築改修問わず建設業者自身がその原因を作っていることも看過できない事由であります。
過去に建てられたものである以上、複雑な形状の建物であったり、破壊検査ができない状況下では雨水浸入経路を見つけ出すことは困難であることが多く、「この隙間だろう」「多分ここからだろう」「ここは関係ないだろう」など、楽観視して事に当たれば、漏水退治に至ることは不可能です。
雨漏り調査または修繕工事を行なう本人を、まるで愚弄するかのごとくその姿を見せないそんな様相はまるで、怪異を起こす妖怪と言えるでしょう。
▲天井裏に入ると分かる『漏水痕』
▲この物件の漏水原因の一つとして『過去の塗装業者の縁切り未施工』大変の重なり部位が塗料で詰まっていた
若輩ながらも通年この事象に挑んでいると、ある程度の要因は予想立てする事ができてきます。しかしながら、こういったルールのない雨漏りはすべての物件でも起こりえる事から、固定概念を一時だけでも捨て、現実に起きている事象とその原因を静観したうえで初めてその尾ひれをつかむ手立てが見え始めてくるものであります。
つまりは経験と知識にあぐらをかくことなく、常に平常心でありながらも深く慮り遠くを謀る気持ちを持ち続ける必要がある、難解かつ重要な職務であります。
2024年3月1日
雨漏り110番小田原店
片山伊祐