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建設会社が施工した屋上防水工事をやり直した話【雨漏り110番田端店】

2019.02.18 雨漏りあるある,屋上防水工事,雨漏り被害,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番田端店の志村が担当します。
よろしくお願いします。

いつも雨漏り110番コラムをお読みくださり、誠にありがとうございます。
今回のコラムでは弊社が施工した防水工事の事例をご紹介させていただきます。
建設会社が施工した防水工事を弊社でやり直した話です。

今回ご紹介するお客様の建物は築20年を過ぎた鉄骨造4F建てで屋上から雨漏りしている建物です。
建てた建設業者は既に倒産し、その倒産後はご近所の建設会社にメンテナンスをお願いしてきたそうです。
1年ほど前に、その建設会社からの提案で外壁塗装とベランダ及び屋上の防水工事をしたとのこと。
築後20年以上雨漏り等はなく、さらに今回の防水工事をしたことで、今後については全く心配していなかったそうです。
ところが昨年夏の大雨の時、寝室の天井から初めて雨漏りを見つけ驚き、すぐに建設会社に連絡したそうです。
屋上まわりを確認してもらったものの不具合は確認できず、後日防水施工業者を伴い再確認に訪れ、多少の手直しをして、これで様子を見てほしいと言って帰って行ったとのこと。
その後、多少の雨では雨漏りしないものの、台風などの大雨になるとやはり雨漏りが起きるようになりました。
再び建設会社に連絡し、屋上を確認してもらうも、原因が特定できないまま雨漏りの状況がどんどん悪化してしまいました。

地元でも実績ある建設会社で、ご近所でもあるため遠慮があり、なかなか強くお願いもできず、時間だけが過ぎてしまいました。
大雨の時には天井からポタポタと落ちる雨音に悩まされ、何日も眠れぬ夜を過ごしたとのこと。
とうとう意を決して他の業者を探そう!とインターネット検索をされたそうです。
インターネットには数え切れないほどの雨漏り業者や仲介サイトがありましたが、そのなかでも一番信頼できそうで、施工実績が豊富にある、ということで私共『雨漏り110番』にお問い合わせをいただきました。

最初の現調時には雨が降っており屋上には上がれませんでしたが、室内の漏水状況の確認に伺いました。
4階の寝室天井に雨水浸出位置が2箇所あり、ポタッ…ポタッ…と定期的に水が落ちていました。

寝室の床にはバケツとオケが置かれ、数日間水を溜めている状況でした。

私共は高性能赤外線サーモグラフィーカメラを用いた調査もいたしておりますので、赤外線サーモグラフィーカメラで天井の状態を確認します。
天井の雨水浸出位置は2箇所ですが、赤外線サーモグラフィーカメラの画像からはクロスが貼られた天井裏にはかなりの範囲で雨漏りが広がっていることが確認できました。

天井に高性能水分計をあてて測定すると、数値がふりきれてしまいました。
これは天井材が完全に濡れてしまっている状態を表してます。

このような状況や赤外線サーモグラフィーカメラ画像をお客様に確認していただき、天気の良い日に屋上に登らせていただくことになりました。

後日、外壁タラップから登って屋上の状態を確認いたしました。

図面を確認すると新築時の屋上床仕上げは「ALC版均シ モルタル ア15 シート防水露出仕上げ」 となっています。
これは床が厚さ100ミリのALC版の上に、厚み15ミリのモルタルが塗られ、その上に塩ビシート防水(塩化ビニル樹脂系シート防水)が施工されていることを表します。
1年数か月前に建設会社が施工した改修工事の内容をお聞きすると、どのような仕様で防水工事をしたかの詳しい説明は全くなく、ただ、屋上も防水しますと言われて、見積書にも屋上防水の項目があったとのことでした。
保証は何年ですか?とお尋ねしましたが、そのような保証の話など一切なかったそうです。

現状を確認してみますと、既存床は塩ビシート防水のままでした。
表面には保護塗装が施工されていて、部分的にシーリングによる補修がされていました。

念のため屋上のアルミ笠木を部分的に取り外し、屋根(斜壁)等の取合い状態も確認します。

一見キレイに施工されているようですが、よく見ると端末シートに浮きがあります。
床に顔を近づけてシートジョイント部を隈なく確認すると、シートの伸び縮みによる小さな破断箇所が点在しています。
シートの表面には薄い防水塗膜があるものの、この厚みではすぐ破断してしまいます。
これで1年数か月前に防水工事をしたといえるのだろうか?
本当に悲しくなってしまいました。

外壁のタラップから身を乗り出すカタチでしか登れないので、高い所に慣れていない普通の人が屋上に登るのはかなり危険な構造です。
そのため、お客様ご自身で屋上防水工事の状態を確認することはできません。
そんなことから、信頼していたご近所の建設業者の言われるままに任せてしまった、とのことでした。

雨漏り修理はとても難しく、知識と技術と経験が必要な工事です。
長年の実績がある建設会社であっても、雨漏りの専門知識を持っていないことが多いのです。
その結果、技術力の低い下請け業者に任せっぱなし… 残念ながらこれが現実です。

現場調査後、弊社にて防水工事のお見積りを出させて頂きました。
現状の写真や図面、過去に弊社が施工した防水工事の写真をお見せしながら、お客様に雨漏りの仕組みや工事仕様による違いなどをご説明しました。
また、材料メーカーと弊社との連名による保証期間についてもしっかり提示させて頂きました。
お客様からの様々なご質問にも一つ一つ全てお答えし、ご納得いただいたうえで防水工事のご依頼をいただきました。

今回、弊社で施工した屋上防水工事について解説いたします。

まず屋上までのルートですが、室内窓から外壁のタラップで屋上に登ります。
数日間の工事になりますので、なるべくお客様にご負担をかけないように、室内の作業導線の養生を確実に行います。
屋上にはエアコン室外機が4台設置してあり、配管ラッキングもボロボロでした。
室外機の設置床面も完全に防水するため、業界用語で『馬』と呼ぶ【室外機仮置き台】でエアコン室外機を持ちあげます。(浮かせます)
今回は既存の塩ビシートを全撤去する仕様ですので、まず始めにアルミ笠木をいったん取り外します。

笠木を外さずに施工する(笠木を外せない)業者も多いのですが、笠木廻りから雨水が浸入している可能性もありますので、弊社では原則として全て外します。
もし笠木の下のパラペット天端の防水が甘ければ、笠木の中に浸入した雨水が雨漏りにつながるリスクが高いからです。

専用の電動ケレン機等を用いて既存塩ビシートを剥がし、笠木取付金具も一旦取り外し、ビス穴に防水材を充填し防水テーブを貼り金具を戻します。

外壁や屋根材などの取り合いを防水処理し、引き続き床面の塩ビシートを剥がします。

今回のように防水改修では、下地の劣化状態や部位によって既存防水層を撤去しますが、防水層を剥がすので雨養生が必要になります。
工事途中の夜に予期せぬ雨が降り、雨漏りが発生しては大変な被害になってしまいます。
剥した部分のひび割れや排水口廻りを防水処理し、その上から防水専用仮防水材を下地の劣化状態により、コテやローラーを用いて均一に塗布し仮防水を完了します。
そして排水口廻りからの雨漏りを防ぐため改修ドレンも取り付けます。

今回の屋上防水仕様は、弊社とメーカー連名での防水保証が10年となる【国土交通省仕様 X-1 通気緩衝工法】です。
床全体に通気緩衝シートを貼り、ジョイント及び端部処理をおこないます。

防水層と下地の間に発生した水蒸気(湿気、滞留水)を排出するため、脱気装置を水平床の水上に設置します。

立上り部には、立上り部補強布不要型1成分形ウレタンゴム系塗膜工法を採用いたしました。

通気緩衝シートを貼った平場には、通常2層~3層防水材を塗布いたします。

防水材硬化後に室外機架台を取り外し、床全体に表面温度を下げる効果のある高反射トップコートを用いて保護塗装いたしました。

エアコン室外機配管のラッキングがボロボロだったので、テープで巻きなおし、笠木を復旧しました。
最後に笠木の掃除をして工事完了です。

工事完了後、数回の大雨を経ても雨漏りの再発は一切なく、本日に至るまでお客様は安心してお住まいになられています。

昨近では、インターネット(パソコンや携帯電話、スマートフォン)の普及により様々な調べものが大変楽になりました。
かつては雨漏り専門業者をインターネットで検索しても数件しか見つからなかったものですが、今では数えきれないほどの雨漏り業者や仲介サイトが見つかるようになりました。

しかしその中には前述の通り、雨漏りに関する専門知識を持たない、技術力の低い業者も多く含まれているという実態がございますが、ほとんどの方はそれを見分ける手段を持ち合わせておられません。
そうなると複数の業者を単に金額だけで比較し、より安い方を選んだ結果、せっかく工事したのに肝心の雨漏りを解決できなかった、という失敗に繋がってしまうことがあります。
大変残念なことではありますが、弊社ではそのような経験をされたお客様からのご相談をお受けすることが多々あります。

『お客様が雨漏り工事で失敗しないためにはどうすればよいか』を考え続けた結果、たどり着いた答えは、『お客様ご自身にも少しの知識を持っていただく』 ということでした。
最低限の知識を得ることで、その業者が本当に雨漏りを解決できる業者なのか否かを、ご自身で判断できるようになるのではと思います。

そしてその専門知識を得る手助けとなるのが、この雨漏り110番コラムだと自負しています。
このコラムに書かれた事例や対策を予めご覧いただくことで、業者との打ち合わせにて矛盾点やほころびを見つけられるようになり、業者選びの失敗を無くす手助けになると考えています。

正しい知識や技術力を持たない業者は、お客様からの詳細な質問を嫌います。
極力自分たちの都合のいいように施工したいと考えるからです。
逆を言えば、雨漏り110番コラムをお読みいただくということが、私共雨漏り110番グループが雨漏りに関して確かな技術と自信をもっていることの証明になると信じています。

このコラムが、皆様の大切な建物を守るためにご活用いただけましたら幸いです。

皆様のご多幸と、これから行われる施工にご満足いただけることを心より願っております。

2019年2月18日
雨漏り110番田端店
志村 徳彦

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