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家を守る外壁塗装と家をキレイにする外壁塗装。【雨漏り110番相模原店】

2019.02.26 家を守るために,雨漏り修理の方法,建物の維持管理,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番相模原店の田中が担当します。
よろしくお願いします。

今回は家を守る外壁塗装について話をさせてください。
家は多くの人にとって一生一度の買い物です。
おそらく一生のうちで最も高額な買い物なのではないでしょうか。
そんな家ですが、新築から10年ほど経過してくると、外観の汚れが目立つようになり、外壁塗装を薦める訪問販売会社の営業マンがひっきりなしに訪問してくることになりがちです。

そのような営業攻勢を受けた結果、家族会議で「だいぶ汚れてきたから、そろそろ外壁塗装しようか」という話になり、訪問販売会社を含む何社かの塗装業者に見積りを依頼することになります。
そして、数社の中から気に入った塗装業者に工事を依頼することになるのです。
その業者から勧められた塗料で外壁塗装を行ない、見違えるように綺麗になって大満足です。
これで雨漏りも心配ないって言ってたから安心!と言った流れになることも多いのではないでしょうか。

ここで一つ大切な事な事をお伝えいたします。

外壁塗装で雨漏りは解決しません!

とても大切な事なので繰り返します。
外壁塗装では雨漏りは解決しません!

この言葉に驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、少し考察してみたいと思います。

そもそも外壁塗装は何を目的として行われるのでしょうか?
家が汚れてきたから綺麗にしたい、または10年に一度ぐらいは外壁塗装をするのが普通だから、あるいは雨漏りが心配だから塗装をしたい、などなど、いろんな目的があると思います。
外壁塗装をする目的や理由は人それぞれでしょう。

私の考える外壁塗装工事の目的は「家を守る」ことだと考えています。
もちろん外壁を塗り替えるということは間違いなくキレイになりますので、美観をよくしたいという目的も同時に果たすことにはなります。
しかし、それはあくまでも付加価値の部分であり、本来の目的は、あくまでも『家を守る』ことだと考えています。

先ほど『外壁塗装では雨漏りは解決しません』と言いましたが、実は厳密に言えば外壁塗装で雨漏りを止めることは可能です。
防水性の高い塗料で外壁全体を塗ることで雨水の浸入を防ぐことはできます。
ただし、それを『解決』と言ってよいのか?という問題が残るのです。
そもそも木造住宅においては【防水】の概念より【雨仕舞い】の概念で建物を雨水から守っています。
【防水】で雨水をシャットアウトして雨水の浸入を防ぐのではなく、【雨仕舞い】で雨水の動きをコントロールして雨水の浸入を防ぐのです。

ですので、極論を言えば、外壁塗装によって雨漏りを一時的に止める事は出来ても、そのまま永遠に止め続ける事は出来ないのです。

話を戻します。
少し強引ですが、外壁塗装は大きく分けて2つに分類できると考えています。
「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装。
「家をキレイにする」ことを主目的とした外壁塗装。
以上の2つです。
どちらが良い悪いという話をしたいワケではありません。
目的が変わると、それに合わせて手段も変わるという話をしたいのです。

まずは「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装についてお話します。
「家を守ることを目的とした外壁塗装」の場合、現状で雨漏りをしているか、雨漏りしていないかで、考え方が大きく変わります。

現状で雨漏りしている場合は、どこから雨水が浸入しているのか、雨漏りの原因を探し出さなければなりません。
適切な雨漏り調査(散水調査など)を実施し、雨漏り原因を特定してから、それに対応した工事をする必要があります。(雨漏り調査については、いずれ詳しくお話させていただきます)

現状で雨漏りしていない場合は、その建物の防水性能を信頼したうえで対応することになります。
ここで言う防水性能とは、外壁や屋根の内側に張られている防水紙や防水シートの事を指します。
木造住宅が雨漏りをするか否かは、この防水紙・防水シートに掛かっていると言っても過言ではありません。
現状、雨漏りをしていないのであれば、既存の防水紙が適切な状態にあると推測をし、ひとまず信頼するという事です。

しかし、現状で雨漏りをしていない建物であっても、雨水が防水紙までは達している可能性はあります。
この防水紙(アスファルトフェルトなど)は専門用語で2次防水と呼ばれ、雨漏りを防ぐ最後の砦と言うべきものです。
最後の砦なので、防水紙まで雨水が達している状態はできるだけ避けなければなりません。

そこで、表面的に防水性能の低下が見られる箇所の防水処置や、先々雨漏りの原因になる可能性がある部位の補修などを積極的に行います。
例えば、サイディングの目地シーリング(コーキング)を打ち替えたり、モルタル外壁に発生した亀裂を補修する必要があります。
また、金属の庇などに穴が空いているようなら張り替える、破風のコーナーに隙間があるなら板金を被せる、軒天の重ね合わせが雨水の流れを考えない張り方になっていれば正しい張り方に直す、などが一例です。
つまり、ただ塗り替えるだけではなく、雨仕舞いの観点から塗装以外のシーリングや板金処理などをしっかり行って、建物を本来あるべき状態に近づけたうえでを外壁塗装工事を行なうのが好ましいと考えています。

このように『家を守る』ことを目的にした外壁塗装工事の場合は、建物の本来あるべき雨仕舞いを実現し、さらには防水性の高い塗料で塗装するなど、建物を守るために様々な手段を駆使することになります。

しかし、『家をキレイにする』ことを主目的とした外壁塗装の場合はだいぶ違います。

汚れた外壁の色を塗り替えることが主目的なので、先ほど例にあげたような、雨仕舞いの工夫や、防水上のウイークポイントを補強する工程は省かれてしまいます。
『家をキレイにする』という目的を実現するために必ずしも必要ではないからです。
特に塗装工事が終わったあとには全く見えなくなってしまう下地処理などは、疎かになってしまいがちです。
『家をキレイにする』のが目的なので、隠れてしまう部分に手間をかけない業者が多いのです。

また、そのような工事を得意とする業者さんは塗料の防水性能を過信する傾向がある様に感じています。
たとえ塗料のパンフレットに「防水」と書いてあったとしても、その塗料で塗れば雨漏りしないなどとは言えません。
塗料に防水性能があったとしても、それだけに頼って建物を雨漏りから守ることは危険(リスクが高い)と言えるでしょう。

ここまで雨漏りについてお話をさせて頂きました、そもそも雨漏りとは、どういった状態を指すのでしょうか?
雨漏りについて、統一された明確な基準は存在しないと思いますが、私の考える雨漏りの基準は、新築時に雨水が到達しない事が想定されていた部位に、雨水が到達してしまった状態を指すと考えています。

木造住宅の外壁と内壁の間には概ね200ミリ(20センチ)ほどの幅があります。
仮に、その200ミリ向こうの外壁側から50ミリ内側にまで雨水が到達していたとしても、室内で生活している人には雨漏りを認識する事は不可能です。
しかし、木造住宅で外壁側から50ミリ内側と言うのは、木の柱であったり、構造用のべニア板であったりします。
言うまでもなくそれらの部位に雨水が到達する事は好ましくありません。
木材が雨水に濡れる状態が長期間にわたり、何度も繰り返されると、木材の腐食につながりますし、場合によっては湿った木材を好む白蟻の被害を受ける可能性も高まります。

多くのテレビのドラマやアニメなどで表現される雨漏りというのは、天井から雨水が雫の様にポタポタと垂れてきて、タライやバケツで雨水を受けるというものですが、こういった雨漏りは実際には多くありません。
もはや末期の状態で、場合によっては手遅れになっている様な重度の雨漏りです。
雨漏りが重度になってからでは、直すにしても多額の費用がかかり、工事期間も長くなる傾向があり、金銭的にも精神的にも負担が大きくなってしまう事が考えられます。

また話がそれてしまいました。申し訳ありません。
話を戻します。

外壁塗装において最も大事なことは何か?
私は外壁塗装工事において最も大事なのは、塗装において可能な限り雨水の浸入を防ぐ事だと考えています。
異論はあるかもしれませんが、外壁塗装工事を長くやってきた職人社長として、私自身はそう信じています。
まずは外壁塗装において可能な限り雨水を食い止めることが大事なのです。
せっかく外壁塗装をするのですから、建物の防水性能を高める努力をしたほうが絶対に良いと思っているのです。(あくまでも防水紙など既存の2次防水に信頼がおける前提での話です)

しかし、残念ながら塗装だけでは雨水を止める事が出来ないのは前述の通りです。
建物の外観が綺麗になっても雨漏りしていたのでは建物として欠陥がある状態です。
基本的な性能を欠いており適切な状態とは言えません。
外壁塗装によって建物の外観が一時的に綺麗になっても、雨漏りに対して何ら処置をせずに塗装を行なった場合、浸入した雨水によって建物内部から腐食し、結果として外観の美観を損なうという結果につながることもあります。

以下の画像は、実際に外壁から雨漏りが発生し壁内の柱を腐蝕させている様子です。
この様な状態になる前に、雨仕舞いの工夫や防水処置が必要であった事は言うまでもありません。

外壁に発生した亀裂から雨水が浸入

長期間にわたり、雨水の浸入と乾燥を繰り返し、壁内の木材を腐蝕させてしまっています。

では、どのように外壁塗装をすればよいのでしょうか。

もう一度、大きく2つに分けた外壁塗装を比較してみましょう。
「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装。
「家をキレイにする」ことを主目的とした外壁塗装。
以上の2つです。
実は、どちらかが正解でどちらかが間違っている、というわけではありません。
ただし、目的が変わると、それに合わせて手段が変わります。
つまり同じ外壁塗装でも、やってる中身が全く違うという話です。
皆様の家にはどちらの工事が必要でしょうか?

おそらく多くの方が『「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装』を行う塗装業者に依頼したいとお考えになられると思います。
そうなると、次のステップとして『「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装』を行う塗装業者を探し出さなければなりません。
つまり、塗装業者をしっかりと見極めて工事を依頼しなければなりません。(※塗装業者の見極め方については次回お話させていただきます。)

ところで、『「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装』を行う塗装業者が、実際にどのような塗装工事をするかと言えば、実は、特に変わったことをしているワケではありません。
基本的にはメーカーの施工要領を守って丁寧に塗る、というごく当たり前の作業をやっているにすぎません。

では、どこに違いがあるのかと言うと「下地処理」です。
一口に下地処理と言っても非常に幅の広い言葉で、どのようにでも解釈出来てしまいますので、明確な説明は困難です。

参考までに外壁塗装を行う際に、弊社で行う亀裂補修を例にとって説明させていただきます。

亀裂補修は多くの塗装工事で当たり前に行われていますが非常に奥の深い施工です。
亀裂補修ひとつとっても注視する箇所は多数存在します。
その亀裂からは雨漏りをしているのか?いないのか?
建物の構造は何なのか。木造?鉄骨造?鉄筋コンクリート造?
亀裂の発生した外壁の素材は何なのか。モルタル?サイディング?ALC版?鉄筋コンクリート?
建物の構造や外壁の仕上げ素材によって、建物自体の動きの大きさなどが違う為、防水処置のあり方を考える必要があります。

さらに、亀裂の幅は何ミリなのか?
亀裂の長さは多いのか少ないのか?
亀裂が縦方向なのか横方向なのか?
亀裂と亀裂は交差していないか?
亀裂は内部の防水紙を破断させていないか?
亀裂が発生しているのは雨水が集中的に伝ってくる場所ではないか?
その亀裂から雨水が浸入しているのか?
雨水が浸入していた場合、凍結などの二次被害は発生していないか?
亀裂が雨水の浸入口ではなく浸出口になっている可能性は無いか?
亀裂が多く発生している面はどちら側の面なのか?
建物の庇は大きく出ているか?それとも小さいのか?

上記の状況を正しく見極めて、状況に合わせた処理を施す必要があります。

ざっと考えても以上のような要素があり、実際の現場においては、さらに複数の状況が複雑に絡み合います。
その状況に合わせて、外壁を解体して内部の防水紙の張り替えを行ったり、外壁に切り込みを入れてシーリング処理をしたり、エポキシ樹脂を注入したり、下塗りの回数を部分的に増やしたり、亀裂部分への雨水の流れを制限する為に水切り部材を取り付けたり、場合によっては何も処理せずに通常通り塗装を行なったりと、状況に合わせて様々な判断が求められます。

この様に亀裂の補修作業というのは、一朝一夕で覚えられるような簡単な技術ではありません。
にもかかわらず、外壁塗装工事のお見積り書で、亀裂補修サービスとか、亀裂補修は外壁塗装に含む、などと言う文言を頻繁に目にします。
そういったお見積り書を見ると、無料のサービスで出来るほどに簡単な工事ではありませんので、実際にどのような作業がされるのかは疑わしいと思ってしまいます。(このあたりは、私の生来の疑い深い性格が強く働いて疑ってしまっています。サービスであったとしも、しっかりとした亀裂補修をしてくれる塗装店もいるかもしれませんので念のため補足しておきます)

~まとめ~

外壁塗装を計画している家が雨漏りをしているのかどうかを見極め、雨漏りをしていれば散水調査などによる雨漏り診断を行い、雨漏り原因の特定をした上でそれらの措置を含む外壁塗装工事を行うことが大事です。
また、現状で雨漏りをしていなければ、表面的に防水性能の低下が見られる箇所の防水処置や、先々雨漏りをする可能性のある部位の補修などを行った上で、雨漏り予防の観点も含めた外壁塗装工事を行う。
外壁塗装の業者を選ぶ際は、『「家を守る」ことを主目的とした外壁塗装』を行う塗装業者を選ぶ事が好ましいと考えます。

~まとめ以上~

2019年2月26日
雨漏り110番相模原店
田中徹正

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