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未然に防げたバルコニー排水口詰りからの雨漏り事例【雨漏り110番館山店】
本日の雨漏り110番コラムは、雨漏り110番館山店の佐々木が担当します。
よろしくお願いします。
今回は、本来なら未然に防げたかもしれない雨漏りの事例をご紹介させていただきます。
3年前の事例です。
千葉県内に、大雨洪水警報が発令された3月某日、当店に一本の電話が掛かってきました。
お客様「大変なんです!リビングの天井が・・・」
私「どうされましたか?落ち着いて状況を説明してください」
お客様「数日前から雨漏りがひどくなっていて、今朝は天井のボードが落ちてしまったんです。床が水浸しです。助けてください!」
私「すぐに伺いますので、安心してください。床にバケツを置いてお待ちください」
ということで、応急処置の為の機材を積み込み、雨漏り110番館山店の緊急出動となりました。
とはいうものの、館山から現場がある木更津までは高速を使っても40分近くかかります。
電話でのヒアリングでは奥様が興奮状態でしたので状況が把握できていません。
車を運転しながら、いろいろな状況を予測しました。
もし、こんな状況だったら・・対処方法は?
そのための道具、機材は?
忘れ物は無いか?
などと考えながら車を走らせました。
現場に到着した頃には雨は小康状態になっていました。
玄関を開けるとすぐに居間に通されました。
天井を見上げると・・
天井のクロスが剥がれ、石膏ボードが落下していました。
天井の断熱材も雨水をたっぷり吸い込んだ状態で垂れさがっていました。
断熱材を取り払い、天井裏を確認すると、ひっきりなしにポタポタと雨水が流れ落ちていました。
2階に通され、バルコニーを確認すると、バルコニーの床は塩ビ製のスノコ板が敷き詰められていました。
いやな予感がしましたが、天井裏から確認した位置のスノコを恐る恐る剥がしてみると・・・
予感通りにスノコの下は、なみなみと水が溜まっていてプール状態になっていました。
画像では分りづらいですが、塩ビ製スノコ板を設置するためにFRP防水層の立ち上がり部分に、アルミ製Lアングルをビス止めしてありました。
我々建築に携わるものとして、防水層にビスを打つなんて常識では考えられない施工でした。
排水処理の不具合で水が溜まり、そのビスの位置まで水位が達したため、ビス穴貫通部から雨水が侵入したようです。
排水口上の塩ビ製スノコを取り外してみると、なみなみと雨水が溜まっているのを確認。
排水口は、長年蓄積された土埃とペットの室内犬の抜け毛で、ほぼ塞がっていました。
そこで手元にあったドライバーで突っつくと一気に水が流れだし、水位も徐々に下がり10分後には、室内へ流れ落ちていた漏水もおさまりました。
漏水が止まり奥様も落ち着きを取り戻した様子でしたので、詳しくお話を伺いました。
新築時より一度も雨漏りをしたことが無く、雨漏りとは無縁の生活を送られていたそうですが、10日ほど前に1階和室の柱に初めて雨漏りが発生したとのこと。
その後、しばらくは小康状態が続いたものの、1週間ほどまえから和室と隣り合わせにあるリビングの天井からも雨漏り発生。
それからは雨が降るたびにリビングの床にバケツを置かなければならないほどの雨漏りになっていたそうです。
風向きなどは関係なく、雨量の多い日には雨漏りが発生するとの事。
施工業者に連絡すると、監督らしき人が来てくれたものの、何も対処はしてくれず、のらりくらりの説明で帰ってしまったとのこと。
困り果てたお客様は、建てた業者では話にならないからと、ネット検索で雨漏り110番に加盟している当店を探し当て、連絡をしてみようとしていた矢先、今朝いきなり天井ボードが落下してきたということでした。
さぞかし驚いたことでしょう。
雨漏りの水を受け止めていたバケツを見ていて、天井が落ちてきたら誰でもパニックになってしまいますね。
ヒアリングを続けると、築後11年の建物で、11年間一度も排水口周りの掃除をしたことが無いとの事でした。
それもそうでしょう。塩ビ製スノコ板が端から端までびっしりと敷き詰められていては、排水口の位置すらわかりませんし、掃除もできませんよね。
まして一般の人にはスノコの剥がし方などわかるはずもないですよね。
11年間一度も掃除をしなかった。いや、出来なかった。これが一番の問題ですね。
雨漏りの原因として挙げられるのは
1、この建物を建てた業者が排水口の掃除ができるように配慮をしていなかった。
2、万が一排水口が詰まった場合に排水されるオーバーフロー菅が設置されていなかった。
3、ペットの室内犬をバルコニーでブラッシングをしていた為に、抜け毛が排水口に絡みやすくなっていた。
4、建物の周りには畑が多く、風の強い日には土埃が舞い上がりスノコが土埃だらけなる。
5、その土埃が雨水と一緒に速やかに排出されず、犬の毛に絡みついて排水路を塞いでしまった。
6、塩ビ製スノコ板を設置するためのアルミ製アングルを防水層にビス止めしていた。
このように、様々な原因が重なり合って雨漏りを引き起こしてしまったと考えられます。
それにしても今回のケースでは、雨漏りが発生した初期の段階で呼ばれた建築会社の監督が、排水口の詰りを疑っていれば簡単に解決した問題です。
もしかしたら排水口を疑いながらもスノコ板を剥がすのが面倒くさかったのかもしれません。
面倒くさがらずに塩ビ製スノコ板を剥がしてさえいれば、排水口の詰りが確認できたと思われます。
建築会社の監督がちゃんと対応できていれば、後々に居間の天井のボードが抜け落ちることは無く、ボードの張り替え、クロスの張り替えなど余分な出費は抑えられ、早期に解決していたでしょう。
では、このような事例の雨漏りを防ぐためには、どうしたら良いのでしょうか。
一番簡単な方法は、排水口の掃除ができるようにしてあげれば良いことです。
排水口を掃除することで、雨水は速やかに排出され、雨水が床に溜まることなく雨水侵入原因のビスの高さまで雨水が溜まらなければ雨漏りは防げます。
排水処理が適切に行われていた11年間は雨漏りとは無縁だったのですから。
ということで、後日、排水口上の塩ビ製スノコを切り、簡単に開閉できるように取手を付けました。
これで簡単に掃除ができるようになり、排水口の詰りが原因の雨漏りは防げるようになりました。
このコラムをご覧の方で、ご自宅のバルコニーの床に何かが敷き詰められていたら一度排水口のチェックをされてみてはいかがでしょうか。
このような石調タイルが敷き詰められているバルコニーでも
必ず排水口上には掃除ができるように取り外しができるようになっています。
もし、お宅のバルコニーの床に何かが敷き詰められていて、排水口の確認ができなければ、是非お近くの雨漏り110番加盟店にご相談なさってください。
2019年3月6日
雨漏り110番館山店
佐々木恒治