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鉄筋コンクリート造の雨漏り事例・その2【雨漏り110番藤沢店】

2019.03.30 雨漏り調査の方法,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,雨漏りに取り組む,雨漏り110番グループ,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番藤沢店の原田が担当します。

本日のコラムでご紹介するのは鉄筋コンクリート造の雨漏り事例です。
本題に入る前に、まずコラムの本文中に出てくる雨漏り関連用語について解説します。
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【雨漏り関連用語】※NPO法人雨漏り診断士協会が定義し提唱している用語です。
「雨漏り」
施工の意図に反し、建物内部に雨水が浸入すること。
「雨漏り具象」
雨水浸入が推察され、建物内で雨水の経路、含水、浸出等が現認可能になる状態のこと。
「雨漏り解決」
意図的な施策により雨漏り具象が発生しなくなること。
「雨漏り診断」
多様な調査方法(散水調査・貯水調査等)を駆使して、雨漏りの原因を特定すること。
「雨水浸入位置」
雨水が建物外部の仕上げ層より内部に浸入するところ。
「雨水浸出位置」
浸入した雨水が建物内部の仕上げ層表面より浸出するところ。
「単一雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。
「複数浸入雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。
「複数浸出雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が複数箇所の雨漏りのこと。
「創発雨漏り」
各要因の複雑な相互作用により、問題のある部位ごとの性質にとどまらない状態にある雨漏りのこと。
「浸水経路」
雨水の浸入から浸出までの経路のこと。
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それでは本題に入ります。
本日のコラムは、2019.2.16に掲載されました鉄筋コンクリート造の雨漏り事例【その1】の続きとなります。
【その1】をまだお読みになっていない方は、ぜひ【その1】をお読みになってから次に進んで頂ければと思います。

4Fのサッシ付近への散水で雨漏り具象が再現されてから、雨水浸入位置を特定しようと調整を重ね細かく分けて散水するも、雨漏り具象が再現されたりされなかったり…。「なぜ?」に占拠され混乱した頭の中を一度リセットすべく、4Fのサッシから離れ別の被疑箇所の散水調査を行います。

●7/18 10:30~14:00(12:30~13:00中断)
北東角タイル面に6Fから散水
雨漏り再現せず

●7/18 14:10~17:10
北面外壁西側半分に散水
雨漏り再現せず

●7/19 8:40~11:40
北西角6F・5F・4Fの笠木と外壁との取合い部および手すり根元付近へ散水
雨漏り再現せず

●7/20 8:15~11:15
北西角タイル面へ6Fから散水
雨漏り再現せず

●7/20 13:00~16:00
北面6F・5F・4Fの出窓下部タイル面に散水
雨漏り再現せず

4Fのサッシのことを考えながらも調査を進めていると、なかなか結果の出ない私に社長から『3Fの部屋を閉め切り、換気扇を回し室内を負圧(※1)にして調査を行うように』との指示がでます。(※1 この場合の負圧とは、室内を閉め切り換気扇を排気状態で回すことで、外気より室内の気圧が低くなることを指します)
早速、再度4Fのサッシの調査を行うことにしました。

★7/26 9:00~13:35
7/7に雨漏り具象が再現された時と同じ条件で散水
雨漏り再現せず

★7/26 13:35~15:20
上記調査で雨漏り具象が再現されなかったことを確認したうえで、調査を継続したまま、室内の窓を閉め切り、換気扇をつけて散水
雨漏り再現せず

★7/26 15:40~16:40
上記のセッティングを少し右にずらし、室内の換気扇を付けたまま散水
雨漏り再現せず

★7/28 9:15~13:45
北面東寄り4Fサッシ右側上部より養生等を行わずに散水
雨漏り再現せず

★7/28 14:00~16:30
北面東寄り4Fサッシ上部より上が台所水栓、下が浴室水栓のダブルで散水
雨漏り再現せず

★7/30 9:00~13:00
北面東寄り5Fサッシ下部のタイル面と4Fサッシ上部より散水
雨漏り再現せず

室内の換気扇を回しながら散水するも、雨漏り具象は再現されませんでした。
そこで再び、4Fのサッシを離れ、別の箇所の散水調査を進めることにしました。

●7/30 13:40~16:40
6F・5F・4Fの共用廊下腰壁外側タイル面に散水
雨漏り再現せず

●8/2 11:00~14:00
6F・5F・4Fのバルコニー腰壁外側タイル面に散水
雨漏り再現せず

●8/4 9:30~12:30
6F・5F・4Fのバルコニー内北寄り下部のスリーブに室内の換気扇を付けた状態で散水
雨漏り再現せず

●8/4 13:00~16:10
北面6F・5F・4Fの出窓上部より室内の換気扇を付けた状態で散水
雨漏り再現せず

迷走する私は、ふと思い返し、再び4Fのサッシの散水調査を行います。

★8/13 9:15~12:15
北面東寄り4Fサッシのシーリング破断部をパテにて塞ぎ、室内の換気扇を付けた状態でサッシ上部より上が浴室水栓、下が台所水栓のダブルで散水
雨漏り再現せず

★8/13 13:00~14:30
上記の調査を4時間行う予定が3時間で切り上げてしまったので、45分中断ののち90分追加で散水
雨漏り再現せず

暑さもピークのこのころ、窓を閉め切り薄暗い室内で換気扇を回し、蒸し風呂の様な暑さの中で行われた調査で気持ちの疲労もピークを迎えています。
当時を振り返ると、息苦しさまで蘇ってくるようです。
逃げるように4Fのサッシから離れ、別の箇所の調査を進めます。

●8/15 8:45~11:45
北面6F・5F・4F出窓左側下部へ散水
雨漏り再現せず

●8/15 12:20~15:20
北面6F・5F・4F出窓右側下部へ散水
雨漏り再現せず

○8/17 雨上がりに外壁の赤外線診断を行ったところ、新たにシーリングの破断部を発見。

窓サッシ皿板の入隅部分(サーモ画像・真ん中)が極端に温度が低いことがわかります。

指で押したところ、中から水が出てきました。

○その後、8/22の台風で雨漏りが発生。

やはり、4Fのサッシが絶対に怪しい!

○8/24
この日、社長の計らいで、迷走する私のもとへ雨漏り110番本部の雨漏りハンターこと唐鎌代表が、わざわざ現場まで足を運んでくださいました。
私は藁をもつかむ勢いで、今までの調査とその経緯を、余白にびっしりとメモを書き込んだ調査報告書を片手に、一字一句漏らさぬよう必死に説明しました。
唐鎌代表は私の話に耳を傾け、調査報告書に目を落とし、時折うなずきながら黙ってずっと私の話を聞いていてくださいました。
私が話し終わると、スッと顔をあげ、ニコリとしながら
「基本に忠実にきちんと調査されていますね」
「あなたのやっていることは正しいですよ」
と…。

一瞬呼吸が止まった後、荒くなっていた呼吸がスーっと元に戻ったような、同時にぶわっと涙が溢れてきそうな感じでした。
そうなんです!私は不安だったんです!
自分のやっていることが意味のないことなんじゃないかと。
この言葉にどれだけ救われたか。
私がつかんだのは藁ではなく、大きく立派な船でした!
当時、私は唐鎌代表にこんなメッセージを送っています。

「本日は本当にありがとうございました。的確なアドバイスは非常に納得ができました。また、私の調査方法をご理解いただけたこと、同じような事例があることなど、心の折れかかった私には涙が出そうなくらい嬉しい言葉が満載でした。これからまた頑張れます!伝説の雨漏りハンターは実在した!と実感した一日でした。本当にありがとうございました」

たくさんのアドバイスや温かい言葉をいただき、生気を取り戻した私は、上階(4F)の方にご協力をいただき、再び調査を開始します。

☆9/10 9:45~12:05
上階の部屋の窓を閉め切り換気扇を付けた状態で、7/7に雨漏り具象が再現された時と同じ条件で散水
雨漏り再現(2時間20分)

写真は雨漏り再現状況です。

大船に乗った瞬間に雨漏り具象再現成功です!
勢いよく走りだした船はどんどん進んでゆきます。

ですが、続きはまた次回。
次回はいよいよ核心に触れてゆきます!
乞うご期待!

2019年3月30日
雨漏り110番藤沢店
原田京子

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