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判断に迷わないための調査手順の重要性【雨漏り110番調布店】
本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番調布店の今野が担当します。
雨漏り診断(散水調査)の際に、判断の迷いから再調査に至ってしまった事例についてご紹介したいと思います。
対象物件は、築造20年、木造2階建て(2×4)の戸建て住宅です。
結論から言えば、窓枠(輸入サッシ)が雨漏り原因となっていた物件です。
雨漏りの状況としては、当該物件を中古で購入し、入居前にリフォーム工事を実施、入居から2年目に南面1階の掃き出し窓上部から2度ほど雨漏りが発生したとのことです。
お話を頂いた経緯としては、リフォーム工事をした会社が散水調査を実施したものの雨漏り原因を特定することができず、そのリフォーム会社から弊社に依頼があったものです。
まず、お施主様から雨漏りした時の状況についてヒアリングし、雨水が浸出した位置や浸出量、当日の雨や風の状況などの情報をもとに被疑箇所を想定し、散水による雨漏り再現調査を実施しました。
雨水浸入位置(雨水の入り口)と特定するため、雨水浸出位置の上部あたる南面の外壁や、2階窓枠などの部位へ散水しました。
<調査実施>
1)1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁へ散水<90分>→浸出再現なし
2)1階掃き出し窓上、2階窓の下枠へ散水<87分>→雨水浸出の再現(当該雨水浸出位置から落滴を確認)
※【浸出再現から水を止めて45分】落滴が止まったことを確認。
3)再度、1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁へ散水<15分>→雨水浸出の再現(当該雨水浸出位置から落滴を確認)
※【浸出再現から水を止めて60分】落滴が止まったことを確認。
4)あらためて1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁へ散水<45分>→浸出再現なし
※一度目<90分>浸出なし、二度目<15分>当該浸出位置から落滴、三度目<45分>浸出なしの状況から、二度目の浸出は2階窓の下枠へ<87分>散水時のタイムラグ(時間のずれ)による残留水と判断。
※1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁へ養生貼り込み。
5) 2階窓の下枠へ散水<60分>→雨水浸出の再現(当該雨水浸出位置から落滴を確認)
※養生内へ試験水がわずかに浸入していることを確認。
《タイムラグによる再現の可能性と、散水時の養生に対して確信が持てなかったため、再調査を実施することを計画》
<再調査の実施>
※1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁への養生。(完全養生を実施)
1)2階窓の下枠へ散水<30分>→雨水浸出の再現(当該雨水浸出位置から落滴を確認)
※今回は養生内への試験水の浸入がないことを確認。
2)1階掃き出し窓上部(2階窓下)外壁へ散水<120分>→浸出再現なし
※1回めの散水調査及び再調査の結果から、雨水浸入位置は『2階窓枠』と特定。
雨漏り再現(テスト水浸出)後の止水確認するまでの時間や、散水時の養生の精度など、散水調査における浸出再現の判断(=浸入位置の特定)については、曖昧にならないための時間設定と、確実な調査手順を踏むことが大切であると痛感させられた雨漏り調査事例となりました。
本件の診断結果は、2階窓枠(窓枠そのものの不具合及び二次防水の不具合)から浸入した雨水が、1階掃き出し窓上部へ浸出したことによる雨漏りと特定いたしました。
雨漏りのメカニズム(仮説)は『風雨時に南面2階窓に雨水が当たり→窓枠周辺の不具合箇所から雨水が2次防水の裏側に浸入し→2次防水の裏を通った雨水が下階へ流下し→1階窓枠の上部から雨水浸出』となります。
なお、今回の雨漏り診断結果に基づき、当該雨漏りを解決するための雨漏り修理・補修工事の仕様・工程として、雨漏りの原因箇所【雨水浸入位置】である南面2階窓枠を撤去し新規窓枠に入れ替えること、窓枠の入れ替えに際し2次防水(アスファルトフェルト等)の補修を行うことを提案させていただきました。
2019年3月28日
雨漏り110番調布店
今野昇