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トップライトからの雨漏り【雨漏り110番大田店】
本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番大田店の倉方が担当します。
よろしくお願いたします。
今日のコラムは、先日施工させていただいた屋根に取り付けているトップライト絡みの雨漏りをお伝えします。
屋根のトップライトというとちょっと高級なイメージがあるのは私だけでしょうか?皆様いかがですか?通常は壁にある窓からの採光だけですが、トップライトは天井から温かい太陽光が降り注ぎ明るい開放感のある空間を演出してくれます。
そんないいイメージのトップライトなのですが、見方を変えると『屋根に穴を開けている』ということになります。どうです?こういった見方をするとちょっとドキッとしますね。
繰り返しになりますが、物理的には『屋根に穴を開けている』が真実です。『屋根に穴を開けている』わけですから壁に取り付けられている窓などよりも雨水の負荷が大きいというのは御理解いただけると思います。ちょっとした施工のミスが即雨漏りにつながり、しかも屋根という水平面に位置していることから、雨が降るたびに必ず雨漏りするケースが多いです。
そんなトップライトのある木造2階建て築年数30年以上のお家から、雨漏りで困っているとのSOSを頂きました。
室内の様子です。照明器具が勾配天井に取り付けてあります。この上がトップライトとなります。室内から見るとトップライトの右側、下の方に天井のクロスが剥がれ、その真下の壁にもクロスが剥がれているのが分かります。また天井や壁を形成しているPB(フレキシブルボード、通常はボードといいます)が雨漏りでボロボロになっているのも確認。黒いカビも発生しています。
この位置関係から雨水浸入位置はこのトップライト絡みであるのは間違いないと判断しました。
屋根に上がってみてみました。過去に1回塗装をされているとのことです。しかしながら相当年月が経過してコロニアル(屋根材)自体に痛みが進行しているのが分かります。この写真で見る限り、トップライト付近のコロニアルが割れているなどの不具合は確認できません。あえて言えばトップライトの上の方にあるコロニアルがトップライトと近いかなというぐらいでしょうか。
雨漏りしている部分の上ですね。トップライトと屋根の部分です。写真2でもお話しましたが、コロニアルとトップライトの役物板金との距離、隙間が少し狭い感じがします。この狭いというのは言い方を変えれば隙間がない、クリアランスが少ないということです。要するに経年でゴミなどが詰ってしまう可能性があるのではないか?そんな視点でこの部分を見ています。
この部分は写真3の下ですね。室内から見ると天井のクロスが剥がれているあたりです。トップライトの板金役物が確認できます。この写真で注意する点はやはり流れ側にある板金とトップライト下にある板金との取り合い部分ですね。またトップライトと板金役物の取り付け方などもしっかりと確認することが大事です。写真で見る限りおかしいところはありません。
ここまででどういったご提案ができるか?ですが、雨水浸出位置が2階天井部分、トップライト付近ということ。屋根に登ってコロニアル、トップライト周りの状況なども確認しました。
今回の雨漏りの場合は
①トップライト本体
②トップライトと板金役物の取り合い
③アスファルトルーフィングの処理の不具合
などの可能性などがあります。そしてその修理にはコロニアルを剥がさなくてはならない作業が含まれます。
以上の観点から今回は屋根葺替えをご提案させていただきました。もちろん、部分的に剥がして修理する方法もありますが、その場合は剥がさなかった部分(旧アスファルトルーフィング)と剥がした部分(新アスファルトルーフィング)の取り合いがウィークポイントとなる可能性があります。これはコロニアルの下にあるアスファルトルーフィング(2次防水)の連続性を確保できない。または旧アスファルトルーフィングが経年劣化で切れてしまう。などのリスクが想定されます。
ということでコロニアルを剥がしたところです。写真左側下の部分赤丸部分に雨水浸入している跡があります。ここの上にトップライト本体が乗っていたのでトップライト本体、もしくはトップライトと板金役物の取り合いから雨水が浸入していたことがわかります。
写真5のアップです。下地の木材が傷んでいるのがわかります。
板金役物です。指で指している部分にハサミを入れています。L型の役物板金を取り付ける時にここはどうしてもハサミを入れなければいけない部分となります。こういったハサミを入れる。形状を変更する。といった部分が雨漏りの原因となってしまうことは過去の例でも多いです。またこういったところは屋根材や壁などを壊さないと直接目視できませんのでわかりにくい雨漏り、難解な雨漏りとなってしまう場合があります。
板金役物の下にあるアスファルトルーフィングを取り除いています。アスファルトルーフィングの下に野路板、トップライトを取り付けている間柱材がありますね。トップライトからの雨漏りというとこの野路板と間柱材の取り合い、3次元的な部分にアスファルトルーフィングのピンホールがあって、そこが原因ということがありますが、今回は違っていたようです。
赤矢印の部分が3次元的な部分となります。アスファルトルーフィングは平面形状なのでこういった3次元的な部分をしっかり処理することは難しいですね。
ではどのようにして処理をすればいいのか?ですが、
この写真は今回の現場写真ではありませんが、3次元的な部分の処理に『ハイパーフラッシュ』という伸び縮みする防水テープを使用しています。これであればウィークポイントとなってしまう3次元的な部分もしっかりと止水処理できます。
さて、現場の写真に戻ります。懸案の雨水浸入位置です。野路板の色が明らかに違います。指を指している部分からアスファルトルーフィングの下を雨水が流れています。
アスファルトルーフィングの穴です。これは釘穴ですね。このアスファルトルーフィングの穴から雨水が入っていました。
アスファルトルーフィングを戻してみたところです。ではこの穴はなんで空いていたのでしょうか?
実は写真5で写っていました。板金役物を屋根側に固定するための釘です。赤矢印の部分に釘が見えますね。この釘穴からアスファルトルーフィング下に雨水が浸入し、大きな被害となっていました。
今回の雨漏りは
★トップライトと板金役物との取り合い
★板金役物を固定している釘穴
の2箇所から雨水が浸入している複数浸入雨漏りでした。
ここで釘穴からの雨水浸入について考えてみたいと思います。
写真12の赤矢印の上にも同じように板金役物を固定している釘があります。この釘穴からは浸入せずに、なぜ水下のこの釘穴から浸入しているのでしょうか?その答えは写真3のところでも少し触れていますが、隙間が狭いことと関係があるのではないか?と思います。比較的新しいときにはこの隙間にゴミなどが詰ってなく、経年することにより小さなホコリやゴミが蓄積され、雨水の流れが悪くなっていく。その結果板金役物の上を流れるはずの雨水がオーバーフローして取り付けている釘穴からアスファルトルーフィングの裏に入ってしまった。というのが私の見解となります。
私達雨漏り110番は雨漏りを止めることが仕事です。今回の雨漏りは『屋根を葺き替える』ことと『トップライトを撤去する』ことで解決します。それだけなら私達ではなくても修理はできます。私達雨漏り110番はなぜ雨漏りしたのか?のメカニズムを解明することこそが大きな仕事と考えています。またその知識、見識の蓄積こそが雨漏り110番の財産であり、お客様の信頼に答えられることに繋がると考えています。
施工方法について一言。今回はトップライトをお客様が不要と言うことで塞ぐ選択をしましたが、新しいトップライトへの交換やカバー工法、適切な2次防水処理、適切な板金役物の施工により、トップライトを残したままでもこの雨漏りを止めることは可能です。
長文となってしまいましたがお付き合い頂きありがとうございました。
2019年5月12日
雨漏り110番大田店
倉方康幸