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どこから雨水は侵入し、雨漏り、雨シミにつながったのか?【雨漏り110番飯田店】

2019.05.23 雨仕舞,建物のメンテナンス,屋根工事,建築板金,建築構造・建築施工,雨漏り職人,複数浸入雨漏り,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番飯田店の宮下が担当します。
よろしくお願いします。

屋根の段差部分の雨仕舞はどうなっているのか?

まずはこちらの写真をご覧ください。

こちらの写真は雨漏りが起きた天井内の屋根の小屋組みを写したものですが、矢印で
示した部分に雨漏りが起きたシミが確認できるかと思います。

次の写真をご覧ください。

今度は屋根の上から写したものになります。
鋼板葺の屋根と瓦葺きの屋根が段差で納まっている屋根になります。目視の状態では雨水がどの部分から侵入し、小屋組み⇒天井下まで雨水が伝わったのかがわかりません。

こちらのお宅の屋根は玄関の部分の屋根と大屋根部分の瓦とは施工時期が大きく違っています。玄関屋根はほぼ建築当時の屋根で、瓦屋根はその後葺き替えられたものになっています。
雨漏りが起きている部分は瓦谷と鋼板屋根の棟部が段差で納まる部分になります。のぞき込む様に奥を確認してみましたが、そもそも見にくい場所である事と瓦屋根を葺き替えた時に鼻隠しの鋼板巻を行っている事からたいへん見づらくなっています。

なんとか覗いてみました。
鋼板屋根の下り棟の役物が瓦屋根の谷下にどのように干渉しているか?この部分は雨仕舞の急所になりそうです。

瓦屋根と鋼板屋根との取り合いで起きた雨漏りの原因を確認するには瓦屋さんにめくってもらい確認をする事とします。今回の瓦屋根は平瓦になる事から和瓦とは違い釘で固定されており、簡単に外す事や復旧する事が難しいので、瓦屋さんにめくってもらいます。
めくった状態で瓦の谷部と下り棟、鼻隠し巻きとの関わりが2次防水(アスファルトルーフィング)と共に見えてくると考えます。

瓦屋根をめくり原因を確認する

雨漏りが起きた天井の上部に当たる瓦谷付近の瓦をめくってもらい確認作業に入りました。確認を行う中で鋼板屋根の取り合いが通常と異なっている状況は把握できました。棟板の止まりが少し足らない状況になっている事。その部分の樋の改修を行った際に取り付けた鼻隠しの鋼板巻が棟板の内側に入り込んでいました。

本来は施工の順番上は起きない事ではありますが、仮にこの状況であっても雨漏りが起きるとは考えにくいと思います。雨水の流れる経路をなくすために鼻隠し巻きを途中で切断し、入った雨水が棟板側に流れない工夫と、瓦谷から入った雨水が谷部を通って棟板側に流れない様な処置を行いました。
下記の写真をご参照ください。

考えられるあらゆる状況を想定して修理を行いましたが、根本的な雨水の浸入位置がどこにあったかと言えば、もしかしたら別の場所も考えられます。
ただし、瓦谷や棟部のわずかな隙間に雨水が浸入する状態に関しては、今回の修理で改善することが出来ましたたので、この先その部分から雨漏りすることは考えられないと思います。
ただし…
次の写真をご覧ください。

今回瓦屋根をめくった事でわかった事実として、2次防水に雨水が伝わった痕跡が残っている事が確認出来ました。この痕跡が最終的に天井の雨漏りにつながる経路として更なる検証が必要だと考えました。鋼板屋根の雨仕舞に関しては少ない段差での作業は難しい事から、本来であれば瓦屋根の葺き替え時に確認を行うことが大事だと考えます。

原因の仮説を立てて様子を見る

さて今回痕跡が確認出来た屋根上の場所は写真で示す部分になります。

仮に瓦から雨漏りが起きた場合ですが、2次防水の上を流れた雨水は瓦桟まで伝わり、今回の鼻隠し巻きに入り込んで雨漏りが発生したと考えます。この地域においては瓦屋根は引掛け桟で葺かれています。雨水が浸入した場合には瓦桟に雨水が溜まり、桟を打っている釘やビスからの漏水が起きやすくなります。ただし、今回の屋根の様に瓦谷がある屋根では瓦桟を途中で切り、瓦を針金等で吊る部分がありますので雨水の量によっては先端まで雨水が移動する事も考えられます。

しかし瓦屋根の雨漏りがどこから起きたのか?

次の写真をご覧ください。

仮説を立ててみました。
雨漏りが起きやすい場所の一つとして考えてみました。今回の瓦屋根は入母屋造の屋根形状ですが、〇で示した部分は雨漏りが起きやすい場所の一つとして考えられます。目視で確認をしてみましたが、施工後10年は経過してないにもかかわらず白セメントが崩れかけている状態が見受けられました。何かが起きている可能性が考えられます。今回はこの部分までの検証は出来ませんでした。ただし、瓦屋さんとの話の中でも、この部分の状態や施工に疑問があるという見解で一致しました。
今回の当店での検証、修理はここまでで終わる事となりました。

その後、再度同じ場所より雨漏りが起きた事から瓦屋根をめくり確認をしたところ、瓦屋根の下り棟からの雨水浸入が確認され、瓦屋さんで再修理を行ったとのことです。

2019年5月23日
雨漏り110番飯田店
宮下隆行

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