ブログ詳細 ブログ詳細

ブログ&コラム

雨漏り診断・調査における散水調査手順について【雨漏り110番調布店】

2019.06.20 プロフェッショナルとして,正しい知識,単一雨漏り,雨漏り職人,雨漏り調査の方法,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番調布店の今野が担当します。
今回は、散水調査手順を模索していた頃(今でも常に模索中ですが)の雨漏り調査の事例となります。
散水調査手順と言っても、基本的には被疑箇所を想定し、設定時間や水の当たり方を見極め、水をかけて行く(雨を再現する)ことなのですが・・・

建物概要は・・・築造40年、RC造5階、集合住宅、比較的頻繁に4階の浴室天井より雨水浸出、上部階には屋根なし開放廊下、その開放廊下の壁には外灯、ベントキャップ、メーターBOX、インターフォン、PSドアがあり、それぞれの位置や状態、その他外壁の状態などを確認し、散水調査を行うこととしました。

ヒアリングによる雨漏り情報をもとに、まずは位置関係から被疑箇所を想定し、散水調査を実施。手順としては下から順番に散水する位置を上げていくのがセオリーとなりますが、今回は高い位置へ散水し、まずは散水範囲における不具合(雨水浸入位置)の有無を確認することとしました。

1.上部階(5階)外壁のメーターBOX上部へ散水(下部にはインターフォン、PSドアあり)<43分>→4階浴室天井への浸出を確認。

2.PSドアへ養生を施し、インターフォンへ散水<45分>→浸出なし

3. 念のためインターフォンへ養生を施し、上部表札へ散水<47分>→浸出なし

4. 念のため表札へ養生を施し、メーターBOXへ散水<48分>→浸出なし

5. PSドア側面へ散水<48分>→4階浴室天井への浸出を確認

PSドア枠への染み出しを確認

6. PSドアへ養生を施し、外壁上部外灯及びベントキャップへ散水<45分>→浸出なし

7. 浸入位置と思われるPSドア周辺の不具合箇所

散水調査による診断結果は、雨水浸出位置上部開放廊下外壁貫通部(外灯、ベントキャップ、インターホン)及び開口部(PSドア)それぞれの部位へ散水し、PSドア周りへの散水により下階居室浴室天井からの浸出を確認していることから、PSドア周りの不具合箇所からPS内に浸入した雨水が下階の天井に浸出したものと診断。

雨漏りの原因とメカニズム(仮説)としては、降雨の際外壁面(PSドア周り)に雨水が当たり→雨水がドア周りの不具合箇所から壁内に浸入し→浸入した雨水が5階スラブに流れ込み→5階スラブの配管周り埋め戻しモルタルなどコールドジョイントに浸入し→4階浴室天井から浸出しているものと想定。
今回は建物管理関係の業者さんからの依頼でしたので調査報告により、当該業者さんの方で修繕を行うこととなりました。

雨漏り診断業務を継続する中で、合理的な手順を常に考えてきましたが、浸出までに時間がかかる場合と短時間で浸出する場合、あるいは雨漏りを再現した時の雨滴が収まる(出ている水が止まる)までにかかる時間、また養生を必要とする場合の対象仕上げ材の種類などによって、手順の合理性はケースバイケースとなります。

雨漏り診断には、焦らず(設定時間の厳守)、妥協せず(被疑箇所に対する水の当て方や養生)、見極める(浸出位置における広角かつ細部にわたるテスト水の浸出を見つける)ことが必要です。
せっかちな私にとっては何よりも苦手な課題ではありますが、これまでの経験から「覚悟」をもって事に当たらないと、場合によっては全てふりだしに戻らざるを得ない結果となってしまうのです。
ある意味苦行とさえ感じてしまうこともありますが、いろいろな意味で自己成長の業務なのかもしれませんね。

2019年6月20日
雨漏り110番調布店
今野昇

一覧
SHOP
CATEGORY

日本最大の雨漏り職人ネットワーク お近くの店舗を探す

お住まいの都道府県を選択