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高層ビルでの雨漏り調査の課題【雨漏り110番都筑店】

2019.07.06 他の業者が止められなかった雨漏り,神の目,プロフェッショナルとして,雨漏り調査の方法,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番都筑店の津嶋が担当します。
よろしくお願いします。

今回は高層ビル(10階建て以上)の雨漏り調査についてお話しします。

高層ビル上階は、一般建物と比較して風や揺れが大きく増幅される環境にあります。

このため高層ビル上階の雨漏り調査での散水は、強風を伴う強雨を再現する必要があります。

今回は、これまで常用している水道水散水では、この強風雨を再現することが難しいため、高圧洗浄機を使用することにしました。

ただし高圧洗浄機の使用に際しては、問題なかった箇所を壊して新たな浸入個所を作ってしまうという危険性がありますので、慎重に事を進めなければなりません。

調査は、5年前の2014年に行いました。

建物は、一フロアーに一戸というノッポビルで、周辺には風をさえぎる他の高層建物もなく、風の影響をまともに受けやすい特殊環境にあります。

では、建物概要や漏水状況を説明しましょう。

建物概要:SRC造12階建て 1991年竣工(調査当時では築23年)

建物用途:賃貸マンション12戸

雨漏り箇所:10階の寝室天井の照明器具から

雨漏り位置をトランスポインターという機器を使用して垂直に上げると、11階和室の床(バルコニー側窓近く)になりました。

和室天井には、漏水の痕跡がありません。

ということは、次の断面図に示すような、2つの経路が考えられます。

1つは11階-12階の斜壁、1つは11階バルコニー周辺からの浸入です。

11階バルコニーは、一人がやっと通れるほどの狭さです。

窓サッシ周辺のシーリングは、ひび割れや硬化やチョーキングを起こしていました。

10階より上は斜壁になっており、12階にはトップライトがあり、疑わしい個所満載でした。

疑わしい個所が少ないのも困りますが、多すぎてもいけません。

定石として直上階のバルコニー周辺から散水しますが、シーリングが頼りない状態で、狭いバルコニーなので距離もとれません、直接の高圧散水はためらわれました。

そこで、高圧洗浄機のスイッチを入れずモーターを回さない水道圧だけでの散水方法を採りました。

高圧洗浄機の吐出ノズルは細いために、ある程度の散水強度を担保できるのです。

ところが、本命と見たバルコニー周辺は予測を裏切り、10階の室内に水は入ってきませんでした。

次の候補は、11階-12階の斜壁になりますが、特殊作業で我々の手には負えません。

日を改めて、ブランコ職人を呼び散水しましたが、これでも10階の室内にに水は入ってきませんでした。

こういう時は、初心に帰り10階のバルコニーから始めるしかありません。

灯台下暗しと云い、案外と最初に着手した付近に潜んでいる事があります・・・・・・なんて、今だからこそ言えることです・・・・・・当時は冷や冷やものでした。

何しろ、現場は名古屋なので移動費・宿泊費等の経費が掛かっています。

結果が出ない時のプレッシャーは相当なものです。

これは、雨漏り診断士の皆さんの共通した思いでしょう、その都度結果を出さなければならないということはなかなかしんどい仕事です。

その代わり、結果が出た時は、例えばサッカーで何度もゴールポストに嫌われながらも土壇場でゴール出来た時の感動(・・・私はもちろんプレーヤーではなく観客です・・・)を味わえるので頑張れるんでしょうね。

推理することや謎解きをすること自体が好きなこともありますし、他の人がお手上げの案件を解決した時の成功体験は忘れられないものです。

おっと脱線してしまいました。

とにもかくにも背水の陣で3回目に臨む訳です。

周1回のペースでしたので、頭を冷やしたり気分転換できて今度こそはと勢い込んだものの、そうは問屋が簡単には卸してくれません。

そんな時、パートナーから高圧洗浄機のスイッチを入れて散水しましょうかとの提案。

ここに至っては、封印していた手法をとるしか選択肢がない状態です。一縷の望みを託しました。

パートナーは狭いバルコニーより、和室の窓に向かってほぼ直角に散水します。ここは調査初日にも散水していた個所です。

私は室内で、水が窓に打ち付けられる状況を見ていたら、なるほど高層階での叩きつけるような土砂降りの雨を再現するならば、これもありだなと納得しました。

ほどなくして、引き違い窓の隙間より水が滝のように入ってきました。

その引違い窓をよーく見ると、大きな隙間があります。

これまでは、全く気付きませんでした。

クレッセント錠をロックしてもその隙間が変わらないのです。

水が入ってきて初めて気付いた次第です。

 

高層階での強風を伴う土砂降りを再現するには、水道圧散水ではとうてい無理で高圧洗浄でなければならなかったのだと痛感させられた次第です。

調査2日目に屋上に上がった時には、折からの強風でした。

腰を低くして吹き飛ばされないようにパラペットにつかまっていたことを思い出しました。

かように高層階の風は、地上よりも2~3倍増幅される感があります。

次は、この水がどうやって階下に落ちるのでしょうか?

長くなりましたので、次回に続きます。

2019年7月6日
雨漏り110番都筑店
津嶋信行

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