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壁の中に仕掛けられた雨漏り爆弾のお話【雨漏り110番小平店】

2019.08.12 2次防水の不具合,雨仕舞,プロフェッショナルとして,正しい知識,建築構造・建築施工,雨漏り職人,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番小平店の米澤が担当します。
よろしくお願い致します。

暑いですね。毎日セミが元気よく泣いています。今年の梅雨は雨が多く「梅雨寒」といっておりましたが、梅雨が明けると連日の真夏日・猛暑日で本当に厳しい日が続いています。私達のように外で仕事をする者にとって、雨が多いと現場が進まず困りものですが、そうかといって暑くなるとまたこれも困りものでして、特に屋根の塗装や屋上防水などは全く逃げ場がありませんし、屋根や屋上自体が火傷をする程に熱くなっているのでかないません。お盆休みが明ける頃には少しは涼しくなっているようにと祈るしかありません。

さて本日は「壁の中に仕掛けられた雨漏り爆弾のお話」です。ずいぶんショッキングなタイトルを付けてしまいましたが、実際に雨漏りに関りその原因を目の当たりにした話を聞けば、この様に表現したくなることも分かっていただけるのではないでしょうか。

それでは「いつ?」「誰が?」「どのように?」壁の中に雨漏り爆弾を仕掛けたのかをお話し致しましょう。

【いつ?】

「家を建てた時、既に爆弾は仕掛けられていました」と言ったら皆様は驚くでしょうか。
たしかに新築時の施工ミスや明らかな瑕疵が雨漏りの原因になっているということは無い話ではありません。但し、この場合は建てた業者の責任が明らかですので、通常ならば建てた業者が対応してくれるはずです。

2000年4月に品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が施行されましたので、新築物件の雨水の浸入を防止する部分におきましては10年間、建てた業者の責任が問われます。また民事訴訟でいえば、最大20年間の瑕疵が建築業者の責仕として追求されておりますので、まずはそちらにお話しいただくとして、本日のお話からはちょっと外れていただきます。

ではいつ爆弾が仕掛けられるのでしょうか?

それはリフォームをした時です。

「この前キッチンを新しくしたのだけれど大丈夫?」「お風呂を変えたのだけどこれで雨漏りしちゃうのか?」という不安の声も聞こえてきそうですが、安心して下さい。
大丈夫です。

水周りのリフォーム等、内装に関わる工事ではまず雨漏りすることはありません。
では一体、どういうリフォームが危ないのかと言いますと「窓を出窓に付け替えた」あるいは「2階にもう一つ部屋を造った」「ベランダを増築した」と言ったように外壁の一部を一旦壊す必要がある増改築を行なった場合に注意が必要なのです。

【誰が?】

これは言うまでもなくそのリフォームを行なった業者となります。
建設業者、工務店、リフォーム専門店等々、リフォーム工事に関わる業者は多くあります。その中でどの業者が良くてどの業者が悪いと言う訳ではありません。業者の業態とは関係なく良い(あるいは普通に)仕事をしていれば何も問題が起こることはありません。

しかし施工者の知識不足や認識の誤りによって、故意ではないとしても、瑕疵が壁内に仕掛けられてしまう場合があります。これが雨漏り爆弾なのです。

誰にも気付かれず、爆弾が仕掛けられたまま壁が塞がれてしまいます。
外壁に問題が起こるまでは施主様の希望が叶った訳ですから「リフォームして良かったね!」という喜びの気持ちでいっぱいです。施工業者もお客様から感謝のお言葉をいただけ満足です。

雨漏りが起こるまでは。

【どの様に】

繰り返しになりますが、故意に雨漏り爆弾を仕込む業者はいない(と信じたい)でしょう。誰もが正しいと思っている方法で施工して、お客様から対価を得ているのです。しかしながら時として、知識不足や誤った認識によって雨漏り爆弾が仕掛けられてしまうのです。

ではどのように仕掛けられてしまったのかを見てみましょう。

この写真は改築した接合部の壁内部になります。
既存の防水紙が切り放しになっていて、改築部分はラスカットボードで施工、継ぎ目にはシーリングが施されていました。これでは防水紙の連続性が保たれず、上部より1次防水の裏側に水が浸入してしまったら、内部への漏水、つまり雨漏りが発生してしまいます。
モルタル壁の改築で(例えば窓の交換をした時等)改築部分の木下地にラスカットボードを使用している現場を見かけることが時々あります。既存の防水紙との継ぎ目はしっかり接合されているのかな、と不安になってチラっと覗くのですが、残念ながらこの写真の様に切り放した部分にシーリングを充填しているだけという状況が多いように感じています。

次の写真も防水紙が切り放しになっていて、接合部分にシーリングが施されています。

こちらは出窓への交換工事を行った後の壁内です。防水紙が切れたままになっています。
この様にモルタル壁のお宅で外壁を一旦壊して窓を交換したり、新しく器具を取り付けたりといったリフォームを行った場合には、2次防水の防水紙が切り放しのままになり、防水紙の連続性が保たれない状態で壁が復旧されてしまうというケースが見られます。これではいつか雨漏りするのは明らかです。

次の写真は切り放しにこそなっていませんが、防水紙にサイディング壁の2次防水に使う透湿防水紙が使われています。モルタル壁の2次防水にはアスファルトフェルトが正しい施工です。

この写真もモルタル壁を斫ってみたら透湿防水紙が使われていたという状況です。
透湿防水紙ではモルタルの持つアルカリ性に弱く防水紙そのものが劣化し易いという点や、モルタルが直塗りになるため防水紙とモルタル壁の間に隙間が無く、浸入した雨水が滞留した場合に防水紙の固定に使われたタッカーの穴から雨水が内部に浸透し易いという点でモルタル壁の2次防水には不適切であると言えます。

そしてこれはサイディングボードを剥がしてみたら透湿防水紙ではなく遮音シートが貼られていたという写真です。
各端末には何の処理もされずボードを止めるための木組みが見えています。
防音のためにシートを貼ってあるだけで、2次防水という考えさえなかったのでしょう。

こうした間違った施工であっても直ぐに雨漏りが起こる訳ではありません。外壁の1次防水が健全な間は内部に水が浸入する事がないからです。しかしある日、何らかの原因で外壁にヒビ割れ等の不具合が生じたり、端末のシーリングが劣化し亀裂や剥がれが生じたりして、裏側に水が回るよういなると雨漏りが発生するようになってしまいます。

それまでの期間が長ければお客様も以前のリフォームが原因だとは思わないでしょう。そして施工業者としても自分達の工事とは関係ないと思う訳です。

このいつ爆発するか分からない壁の中の不具合を時限爆弾と言ったらいいのか、不発弾と言ったらいいのか、いずれにせよ雨漏り爆弾と表現したくなる気持ちをご理解いただけるのではないでしょうか。

雨漏り調査の際に初めにお客様からヒアリングを行ないます。その時にリフォーム履歴を必ずお尋ねするのですが、それはそれだけ増改築リフォームが雨漏りの原因になり易いということを知っているからなのです。
ただ残念ながら、お客様がリフォーム業者を選ぶ際にこれならば絶対に安心だと言う基準はありません。
基準はありませんが、先程の例に挙げたような間違った施工もそう多くはないと思います。私も多くの業者さんが真面目にしっかりと工事に取り組んでいると信じています。

リフォームによって皆様の夢が叶い、生活が快適になり、明るい未来が訪れることを願います。
そして私達の出番が無くなることを願います。

2019年8月12日
雨漏り110番小平店
米澤義則

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