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雨漏り調査のときに表面に現れない雨漏りを発見するには【雨漏り110番大田店】

2019.08.08 水分計,赤外線カメラ,雨漏り職人,雨漏り調査の方法,雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,コラム

こんにちは。今日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番大田店の倉方康幸が担当します。よろしくお願い申し上げます。

さて、梅雨もあけ、夏本番となっている今日このごろですが、私達雨漏り110番にお問い合わせが増えるのも梅雨前からとなります。特に今年5月21日の早朝からの激しい雨に加えて強い南風が吹き荒れたあとはお問い合わせが急激に増えました。その頃頂いたお問い合わせで、未だに調査や修理をお待ちのお客様もいらっしゃいます。

通常のリフォーム工事や外壁や屋根の塗替え工事と違い、雨漏り修理は 『予備診断』=問診など→『1次雨漏り診断』=目視や触診→『2次雨漏り診断』=散水調査など→『3次雨漏り診断』=外壁などを解体しての直視などの工程を経て雨漏りの原因を突き止め、修理します。そのため、修理に要する時間もかかりますし、1次雨漏り診断や2次雨漏り診断ではわからなかった壁面内部の痛み(柱や桁などの構造体の痛みやシロアリの被害)も3次雨漏り診断のときに発見され、トータルの修理費用も当初の見積りより高額になってしまう事も多々あります。

そんな非常に手間のかかる雨漏り修理ですが、まず何が大切なのかというと『どこから雨水が浸入しているのか?』ではないでしょうか。この点をしっかりと押させておかないと雨漏り修理したのに雨漏りが直っていない!ということになってしまいます。つまり、原因を突き止めなければ解決に至らないというのが雨漏り修理なのです。

そこで大事なのは『2次雨漏り診断』で行う散水調査です。基本的には非破壊で行う調査なのですが、天井にシミがあるのだけど下にはタレない雨漏りや台風のとき限定で雨漏りする、またはごく少量しか雨漏りしない。など室内の壁や天井の仕上げを通して雨漏りを確認するのは非常に時間がかかると予想される場合などに一部解体、開口して構造体を直接目視する事もあります。

写真1

天井を一部解体して天井内部を確認しています。この作業をすることによって散水調査時における漏水の早期発見、またどの部分から浸入してくるのか。など天井などの仕上げ材があると推測の域を脱しない部分を直視することが出来ます。

また、室内を解体しにくい場所の場合は機材を使用して雨漏りの有無を確認する事もあります。例えば、キッチンの天井にシミがあってタレるわけではないが雨のときには天井内部で音がする。といった場合、天井を開口して内部を確認することは簡単なのですが、キッチンという性格上、ホコリ等が問題となりますね。そんな時は サーモグラフィーカメラや水分計を使用して温度や数値の変化で水の有無を確認する。という方法です。

写真2

散水調査を実施しました。1年ほど前から現れた天井のシミ。下に垂れることはなく、雨のときに天井内からポタポタと音がするとのことです。すぐ近くに下屋根があり、下屋根に落ちる雨音ではありませんか?とお聞きしたところ確実に天井の中から音が聞こえてくるとのお話でした。

写真3

散水調査を実施する前に水分計にて含水率を測定。散水調査前の状況をしっかりと把握することが非常に重要です。この時点の数値や測定した位置などを確実に記録しておかなければなりません。調査実施後に変化があっても現状を把握しておかないと調査実施してからの数値なのか?その前からの数値なのか?がわからなくなり、調査自体の信用性が落ちてしまいます。

写真4

下屋根などいくつかの部分を散水し、雨漏り具象(ここでは数値の変化)が現れなかったので被疑箇所の一つである外壁のひび割れ部分に散水。大屋根も被疑箇所の対象だったので養生して散水する水がかからないようにしています。この作業も無駄に見える作業なのですが、この作業を怠ると外壁のひび割れから入った水なのか、大屋根から入った水なのか、がわからなくなってしまいます。そうなっては雨漏りの原因追求とはなりません。被疑箇所1箇所1箇所確実に散水することが大事です。

写真5

散水して30分後、水分計を天井部分に当ててみると数値が振り切ってしまいました。この数値の変化から外壁のひび割れに散水した水が天井内部に到達したということを確認しました。このとき天井内部からポタポタと水の落下する音が聞こえてきたのでお客様に音の確認をしていただいたところ、雨が降ったときに聞こえる音と同じとのことでした。

以上が水分計を使用して水分計の数値変化によって雨漏りの原因を突き止めた事例となります。雨漏り調査としてはここで完結してもいいのですが、同時にサーモグラフィーカメラも使用して温度の変化を映像として確認してみました。

写真6

調査実施前のサーモグラフィーの映像です。天井部分に温度の変化はありません。ここも写真3と同様に非常に重要です。現状を確実に把握しなければ変化があっても比較することが出来ません。比較できなければ調査としては成立しません。

写真7

水分計が振り切った写真5のときに撮影したサーモグラフィーカメラの映像です。青い部分は温度が低くなっているところです。ひび割れから浸入した水が天井上に落下し、その付近の温度を下げているとこの画像から推測されます。あくまでも温度が下がっていることが映像としてわかるということです。私は水分計の数値の変化とサーモグラフィーカメラの温度変化の画像で外壁のひび割れ部分から浸入した水が天井に落下したと判断しました。

こうして雨漏りの調査といっても散水して直接漏れるところやタレるところを確認する場合もあれば内装の一部を解体してより早く雨漏りを確認する場合、はたまた水分計やサーモグラフィーカメラを駆使して水の存在を数値や映像として確認する場合など様々です。

私は常々こうした機材を使用することに対して否定することはなく雨漏りの原因を確実に発見できるものであれば積極的に使用しています。

お客様の中には『サーモグラフィーカメラを使うと雨漏りの原因ってすぐわかるのですか?』とお聞きになる方がいらっしゃいますが、それはまた違うと思います。

確かに、サーモグラフィーカメラは温度の変化を色と映像によって可視化することは出来ますが、色変化の原因が水であるということはサーモグラフィーの映像からではわかりません。そこに水分計を当てて含水率が上がっていることではじめて水が介在していることの裏付けになり水によってもたらされる温度変化と断定できます。

サーモグラフィーカメラはあくまで補助的な役割ととらえています。水分計もしかりです。

あくまでも雨漏りを発見するためのツールであってそれがあるから絶対発見できる。雨漏りの原因が簡単にわかる。ということにはなりません。

今回は『雨漏り調査のときに表面に現れない雨漏りを発見するには』という題名でお送りしました。そのために必要な機材をご紹介してその事例も上げさせていただきました。雨漏りの原因を突き止めるには散水調査は有効な手段です。そのノウハウは散水する場所、散水する時間、散水する角度や強さ、いかに本物の雨が降ったときのように散水できるか、などが求められます。サーモグラフィーカメラや水分計はそういった調査実施時における水の介在を映像化する、数値化する事には非常に有効な機材です。あくまでも有効な機材であって万能のツールではありません。そのことはご理解いただければと思います。

今日もお付き合いいただきありがとうございました。

2019年8月8日
雨漏り110番大田店
倉方康幸

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