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雨漏り110番グループ研修旅行in五箇山合掌造り集落-その2

2013.04.12 雨漏り110番グループ

第3回雨漏り110番グループ研修旅行で、
世界遺産になっている合掌造りの家に泊まったわけだが、
建物に関わるプロとしていくつか気付いたことがある。
それは、
この合掌造りという建築方法が、
思っていた以上にシンプルで原始的なものだということ。
同時に、思っていた以上に複雑で合理的なものだということ。
ちょっと禅問答みたいになってしまったが、
どういうことかと言うと、
これまでは外観を写真で見るだけで、
合掌造りの内部の状況を全く知らなかったので、
2階や3階は完全な屋根裏で、
部屋というよりも小屋という感じになってること、
茅葺きの内側がそのまま見られることに少し驚いた。
そもそも2階、3階は、
作業場あるいは倉庫として使われていたと聞いて納得。
さらに、
茅葺きの内側を観察すると、
単純な骨組みに束ねた茅を引っ掛けているだけで、
まさにシンプルで原始的な方法なのがわかる。
特別な道具など一切必要としない。
合掌造りの場合は、
1階部分をプロである大工が建てたあと、
その上の2階、3階にあたる、屋根の茅葺きを、
素人である集落の人たちが協力して建てる。
だから、茅葺き部分は、必然的にシンプルで原始的な造りになる。
では、何が複雑で合理的なのかと言うと、
これも中に入って初めてわかったことだが、
囲炉裏で火を焚いているので、
2階、3階部分は、めちゃくちゃ煙たいということ。(苦笑)
もちろん、話には聞いていたのだが、
これほど煙たいとは思わなかった。
20130430_448620
でも、この煙いということに大切な意味があって、
煙にあぶられることよって、防虫、防腐効果があるということ。
煙が茅葺きに入っていくことで、
ススが隙間を埋めて、雨仕舞いの効果を高めていること。
このへんのメカニズムについては話に聞いたことがあり、
理屈としては知っていたのだが、
実際に屋根裏に登って煙を体感することで肌感覚で理解した気がする。
実に合理的なメカニズムだと納得した。
さらに驚いたのは、屋根を組んでいる柱の工夫。
合掌造りの屋根が雪の重みに耐えるように考えられているという話は、
これまでにも聞いたことがあるので知っていた。
でも、強風や地震による揺れで倒壊しないように、
前後左右に揺れ動くように設計されていることは知らなかった。
屋根部分は大工じゃなく素人が作っているにもかかわらず、
現代建築に通じるような計算や工夫がされていたことに驚愕する。
恐るべし先人の知恵、驚くべき日本人の技術力。
なんと、1階の軸組に乗っている屋根の柱は、
その接合部が丸く削られており、前後左右に自由自在に動くのだ。
合掌造りの屋根の内部をじっくり観察しながら、
昔の日本人の知恵と技術の凄さを思い知らされた。
今回、宿のアテンド役をしてくださった玉水先生によると、
(雨仕舞いの権威で一級建築士・一級施工管理技士)
世界各地の茅葺き屋根と、日本のそれとを比べると、
その精緻さ、美しさは、比べ物にならないほど大きな差があるらしい。
日本の技術力は歴史に裏付けされているのだ。
日本人であることを心から誇りに思った体験でした。
それでは、
To Be Continued
伝説の雨漏りハンター
唐鎌謙二
僕の著書です。→『自分を磨く「嫌われ仕事」の法則』
音声でもお聴きいただけます。→オーディオブック版はこちら
日常の活動状況ブログは日本外装株式会社 社長・唐鎌のブログ
さらにツイッターでもつぶやいてます。

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