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鉄筋コンクリート造の雨漏り事例・その1【雨漏り110番藤沢店】

2019.02.16 雨漏り事例,雨漏り診断・雨漏り調査,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番藤沢店の原田が担当します。

本日のコラムでご紹介するのは鉄筋コンクリート造の雨漏り事例です。
本題に入る前に、まずコラムの本文中に出てくる雨漏り関連用語について解説します。


【雨漏り関連用語】※NPO法人雨漏り診断士協会が定義し提唱している用語です。

「雨漏り」
施工の意図に反し、建物内部に雨水が浸入すること。

「雨漏り具象」
雨水浸入が推察され、建物内で雨水の経路、含水、浸出等が現認可能になる状態のこと。

「雨漏り解決」
意図的な施策により雨漏り具象が発生しなくなること。

「雨漏り診断」
多様な調査方法(散水調査・貯水調査等)を駆使して、雨漏りの原因を特定すること。

「雨水浸入位置」
雨水が建物外部の仕上げ層より内部に浸入するところ。

「雨水浸出位置」
浸入した雨水が建物内部の仕上げ層表面より浸出するところ。

「単一雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。

「複数浸入雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が1箇所の雨漏りのこと。

「複数浸出雨漏り」
原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が複数箇所の雨漏りのこと。

「創発雨漏り」
各要因の複雑な相互作用により、問題のある部位ごとの性質にとどまらない状態にある雨漏りのこと。

「浸水経路」
雨水の浸入から浸出までの経路のこと。


それでは本題に入ります。
今回ご紹介する事例は鉄筋コンクリート造の6階建ての建物です。

1階は店舗で、2階から上は賃貸住居になっています。こちらの物件のオーナーから依頼がありました。雨漏りは3階北側住居の天井からです。天井は、壁との取り合いではなく、少し奥まったところから漏っています。天井の上は4階の居室です。秋から春にかけて、北風が吹いたときのみ雨漏りするとのことでした。
足場を組んで、散水調査を行います。

以下、時系列に記します。
●6/30 12:10~15:10
屋根 北面から1.8m南側まで散水
雨漏り具象再現せず

●7/4 10:20~13:20
北東角6F・5F・4F笠木と外壁の取合いおよび手すり根元に散水
雨漏り具象再現せず

●7/5 9:00~12:00
共用廊下6F・5F・4F北寄りサッシ右側に散水
雨漏り具象再現せず

●7/5 13:00~16:00
北面外壁東側半分に散水
雨漏り具象再現せず

●7/6 8:40~11:40
北東角5F・4Fの笠木とタイルの取合いおよび手すり根元に前回よりもより近めで水量も多めで散水
雨漏り具象再現せず

☆7/6 11:50~12:32
北面東寄り5F・4Fサッシ上部より散水
雨漏り具象再現(42分)

雨漏り具象再現状況

この時、本物件で散水調査を開始後、初めて雨漏り具象が再現されました。
雨漏り具象が再現されたときは気持ちも上がりましたが、実はここからが苦悩の始まりでした。
この後、場所の特定をすべく、細かく分けて散水調査を行ってゆきます。

★7/6 13:10~14:10
北面東寄り4Fサッシ上部より散水
雨漏り具象再現せず

★7/6 14:35~15:35
北面東寄り5Fサッシ下部に養生を行い、5Fサッシ下方に水がかからないようにしたうえで5Fサッシ上部より散水
雨漏り具象再現せず

★7/6 15:50~16:50
北面東寄り4Fサッシ下部タイル面に散水
雨漏り具象再現せず

★7/7 9:00~10:00
北面東寄り4Fサッシ上部に養生をして5Fサッシ下部タイル面に散水
雨漏り具象再現せず

雨漏り具象が再現された箇所を細かく分けて散水したところ、確かに確認された雨漏り具象が再現されませんでした。
「何故?」焦る気持ちを抑えつつ、もしかしたら、水量や散水する角度に問題があったかもしれないと考え、調整を重ねながら再度同箇所で散水調査を行いました。

★7/7 10:20~11:50
北面東寄り4Fサッシ上部より前回よりも水量多めで散水
雨漏り具象再現せず

☆7/7 11:55~12:55
北面東寄り4Fサッシ上部より602号室の浴室および台所水栓をダブルで使用し散水
雨漏り具象再現(60分)

雨漏り具象再現状況

水量を増やして散水調査を実施したところ、雨漏り具象が再現されました。
このことから、雨漏り具象を再現するためには水量を増やして調査する必要があると考え、雨水浸入位置を特定するために、水量を増やして調査を進めました。

★7/7 14:05~15:35
北面東寄り4Fサッシ下部タイル面にダブルで散水
雨漏り具象再現せず

★7/12 9:40~11:10
北面東寄り4Fサッシ左右タイル面および下部タイル面に養生をしたうえで4Fサッシ下部レール付近にダブルで散水
雨漏り具象再現せず

★7/12 11:40~13:10
北面東寄り4Fサッシのタイル小口以外を養生のうえ、サッシ右側タイル小口に上部より散水
雨漏り具象再現せず

★7/12 13:20~14:50
北面東寄り4Fサッシのタイル小口以外を養生のうえ、サッシ左側タイル小口に上部より散水
雨漏り具象再現せず

★7/13 9:55~11:25
北面東寄り4Fサッシの周りを養生のうえ、4Fサッシのみにダブルで散水
雨漏り具象再現せず

★7/13 11:40~13:10
北面東寄り4Fサッシ上部タイル小口にダブルで散水
雨漏り具象再現せず

★7/14 9:10~10:40
北面東寄り4Fサッシ水切り左側とタイルとの取り合い部に散水
雨漏り具象再現せず

★7/14 10:40~12:10
北面東寄り4Fサッシ水切り右側とタイルとの取り合い部に散水
雨漏り具象再現せず

★7/14 12:25~13:55
北面東寄り4Fサッシ左側タイル面に散水
雨漏り具象再現せず

★7/14 14:00~15:30
北面東寄り4Fサッシ右側タイル面に散水

どういう訳か、水量を増やし散水するも、雨漏り具象を再現できませんでした。
悩んだ末に、再度7/7で再現できた時と同じ条件で散水調査を行いました。

☆7/15 12:00~12:29
北面東寄り4Fサッシ上部より602号室の浴室および台所水栓をダブルで使用し水量を増やし散水
雨漏り具象再現(29分)

雨漏り具象再現状況

4Fサッシ付近の室内の状況も確認させていただきました。

4Fサッシ下部の水分計の数値は46.7と高い数値をあらわしています。


サッシから離れると、水分計の数値は4.7と低くなりました。


室内のクロスには上の写真のような浮きが確認できました。

このことからも、4Fサッシ付近から雨水が浸入している可能性が高いことがうかがえます。
4Fサッシの外側をよく観察してみると、シーリングに破断箇所が 確認できました。

そこでシーリングの破断箇所への散水調査を行いました。

★7/18 8:45~10:15
北面東寄り4Fサッシ右側下部のシーリングの破断部へ散水
雨漏り具象再現せず

ここだろう!と期待を持って、シーリングの破断箇所へ散水調査を行いましたが、残念ながら雨漏り具象は再現されませんでした。
4Fサッシ付近から雨水が浸入しているであろうことは確認できたものの、水量や、散水の角度、ちょっとした位置などを調整するも、どうしても場所の特定にたどりつかず、何故雨漏り具象が再現されたり、されなかったりするのか…。
私の頭の中は少々混乱をきたしていました。気持ちが焦るというよりは、心が折れそうな状況です。
しかし調査は6階建ての物件の北側全面。まだまだ、やらなければならない箇所がたくさん残っています。
そこでひとまず4階サッシから離れ、気持ちを切り替えて、残る箇所の散水調査を実施することにしました。
調査可能な日にちや時間帯に制限があったため、調査には時間を要し、季節はすっかり初夏から夏へと移りつつありました。
暑い中での調査の始まりです。

が、続きは次回に書きたいと思います。
救世主の登場に、事態は急展開!
次回は2019年3月末頃に掲載予定です。
どうぞお楽しみに!

2019/3/30追記 鉄筋コンクリート造の雨漏り事例・その2

2019年2月16日
雨漏り110番藤沢店
原田京子

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