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安く早くは危険!今だから明かせる雨漏り修理の失敗例【雨漏り110番岩手店】

2019.02.21 雨漏り修理の失敗例,雨漏り修理の方法,雨漏りあるある,雨漏り事例,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番岩手店の菊池が担当します。
よろしくお願いします。

当社の紹介

当社(雨漏り110番岩手店/北日本外装株式会社)は岩手県県南に所在しており、防水工事と塗装工事を営んでおります。社歴は15年、本格的に雨漏り補修ビジネスに取り組んで10年がたちました。以前は建設会社、工務店などの下請け専門でしたが、雨漏りビジネス参入後は、ほぼ元請けとして建物所有のお客様より直接受注させていただいております。
物件としては公共施設、ビル、マンションなどの鉄筋コンクリート造や工場、商業施設等の鉄骨造、木造の戸建て住宅まで約300件の雨漏り物件に携わったことになります。

雨漏り修理でいちばんの関心事は?

さて、雨漏りの調査から修理までご依頼いただく中で、お客様の一番の関心事は、何と言っても価格です。
雨漏りは不測の事態であり、解決は急務であるものの特別購買意欲が湧くものではありません。
雨漏りが止まるという結果さえ出れば、価格は安いに越したことはありません。私も工事業者である前に一消費者です、よくわかります。
それでは、安価で雨漏り修理をするにはどうすればいいのでしょうか?

雨漏り修理、出来るだけ安く済ませたい!

雨漏り案件の建物は、様々な原因があり、また様々な症状があります。
目視時点で原因がある程度特定できるもの、散水調査等繰り返してもなかなか原因が特定できないもの。
ある程度原因が特定出来た後、処置後も、すんなり解決するもの、数ヶ月にわたって再発を繰り返すもの、ある特定の季節のみ再発するもの。

難易度が高い物件はやはり費用がかさむケースが多いです。
あと、高くなりがちなのは大規模物件に高級物件。
雨漏りする建物は意匠に凝った邸宅が多いです。様々な外装仕上げ材を併用し、出入りが多く、Rなどの曲面があり、軒の出が無い、もしくは出が少なく形状が複雑なもの。
逆に、シンプルな箱型に比較的勾配が急な屋根に軒を深くとった建物は滅多に雨漏りしません。傘をさしているようなものです、当然かもしれません。
豪華でカッコイイ建物は雨漏りの観点からは要注意です。雨漏りしやすく、解決に多くの時間と費用を要し、また建物外側のメンテナンスコストも高額になりがちです。
雨漏りはお客様からすればできるだけ速やかに早く解決して欲しいと思うはずですし、費用の負担もできれば小さくしたい、可能な限り小規模な工事で解決してほしいというのが本音でしょう。

当社の痛恨の失敗例 防水工事、安く早くで事件に発展!?

ここで当社の過去の雨漏り修理失敗例を紹介します。痛恨の失敗例です。
あまり思い出したくも無いのですが、あえてここに吐露します。
前にお客様はできるだけ工事費用を安く、小工事で済ませたいと述べました。
一方、一般に業者からすれば早期の解決を図るためには危険と思われる、雨水侵入箇所と想定される危険部位に関しては想定できる全ての範囲補修工事を提案します。
もちろん提案の前に2つの段取りが必須です。
一つは、出来うる限りの詳細な現地調査。
もう一つは、お客様へのヒアリング。
何方を欠いても、顧客満足にも雨漏り解決にもつながりません。

前置きが長くなりました。
以下、忘れることができない雨漏り事件です。
事は今から10年ほど前になります。
ある繁華街のテナントビルの雨漏り調査の依頼をいただきました。
依頼主は、オーナーである不動産管理会社。ホームページからの問い合わせでした。物件は、鉄骨5階建て、築年数はおよそ20年超、改修履歴は1度もなし。飲食店が多数入居する建物です。
半年以上前から雨漏りが頻発し、大雨の際は最上階の5階の店舗は天井のあらゆるところから雨漏りするという状態でした。

早速、屋上を現調したところ、ウレタン塗膜防水工法の屋上防水でした。防水層の劣化が著しく、亀裂や浮き、欠損が散見されます。
一見して「これは、当然漏れるな」と恐らく誰が見ても分かる状態です。
経年劣化だけではなく、膜厚が薄く、竣工時から問題を抱えていたのでは?という印象を受けました。
ドレン周りはゴミが堆積し、ほとんど閉塞しています。一部は雑草が繁茂し、防水層が機能していないのが一目瞭然です。
「管理も、問題だな」
ともかく、早急に全面改修が必要な状態と判断せざるをえませんでした。

依頼主には、現調の際にも立ち会いはいただけませんでした。とりあえず電話で現況を報告し、後日調査報告書と見積書をお届けするというお話をしました。
が、
「明日中には何としても提出してくれ」という要望でした。

開けて翌日、急拵えの書類を持参して説明を始めました。
ところが、先方のご担当者さんは調査報告書にはあまり関心を示していただけず、流し読み程度。見積書も頭の金額だけを見て、「こんな予算はない。もっと圧縮してくれ。部分補修では対応できないのか?」等々。

部分補修で済む状態は、すでに大幅に経過していること、さらに、今部分補修で済ますことにより、今後より大きな費用がかかる可能性があること、決して業者サイドの欲張った見積もりではなく、この建物を維持する上で適切と思われる改修工事内容であることを丁寧に説明したつもりでした。

しかし、先方の担当者は、「予算はこの金額しかない、この金額の中で雨漏り修理をしてくれ」
その一点張りです。その金額は見積額のちょうど半分です。
その上、「今雨漏りで困っているのだから、明日からでも早速工事にかかってくれ」

とても全面改修できるような予算ではありません。もちろん断ることもできたのです。が、現実に目の前に雨漏りで困っている方がいるという事、当社にだけ声をかけていただいた事、雨漏り修理業者としてこれも使命だろうと考えました。ま、突っ込みどころ満載です。笑

ともあれ、早急に段取りをし、着工したのは1週間後でした。
全面改修できる予算ではない事は、前に述べたとおりです。
「どこを、何を省くか?」といった引き算が必要です。
文字通りマイナスの思考です。
同時に、安請け合いした後悔も、じわじわと体の中を上がってきます。
下地処理後、亀裂や欠損箇所は補強布を入れた上、ウレタン塗膜で補修。
凍害発生部は劣化部分を除去し、ポリマーセメントモルタルで補修後、上記と同処理。
ドレン周りは当初の計画では改修ドレンを挿入する予定でしたが、予算の都合上これを削除。シーリングとウレタン塗膜で防水補強に替えました。
これが後の事件を招いた犯人です。
痛恨のミスです。悔やまれます。

引き渡し後の数日後、夕方から強い雨が降りました。豪雨でした。
8時を過ぎた頃でしょうか、携帯が鳴りました。不動産会社からです。
「工事してもらったビルが酷く雨漏りしている、直ぐに来て止めてくれ!」
「‼」
なんとなく、自分でも予感があったような気がします。悪い予感は、やはり当たるものです。
「直ぐに向かいます!」
職長と同乗して現場に向かいます。
現場まで約20キロメートル。30分ほど。
頭の中では様々な仮説、そして対処法が浮かんでは消えます。
そもそもなぜ漏れているのか?
露出防水ですから、損傷部は目視出来るのです。
損傷箇所は全て処置したつもりでした。にも関わらず、ひどく漏れている?
雨はやみません。
不動産会社の方はやはり今回も来ませんでした。
我々で各テナントさんを回って、状況を確認します。
驚いたのは、最上階のみならず、1階の店舗にも漏れている事。
「早くなんとかして」
女将さん、ごもっともです。当然ですよね。落ち着いて食事できるような状態ではありません。
5階の店舗は当然さらに酷く、
「このままじゃ、営業できないよ」
と、細身の、少し光沢のあるスーツを着こなしたマネージャーさんから小声で告げられます。口調とは裏腹に、銀縁眼鏡の奥の目は鋭かったのを覚えています。ドレスを着たお姉さん方も落ち着かない様子でした。

「果たして、休業補償はおいくらほどになるんだろう?」
冷や汗が流れます。
いやいや、まずは原因の把握だ。
解せないのは「今までよりも雨漏りが酷くなった」ことです。
ただし、今までは広範囲に漏れていたのが、今夜は1箇所のみ。
そこからかなりの量が漏れている。
よく見ると、パイプスペースから吹き出しているようです。
「ドレン周りだ」
位置的にはドレンの周りに間違いありません。
ドレンは屋上の雨水を集中的に受ける部位です。
屋上に上がり、その位置のドレンを点検します。
一応、雨水は排出されています。
ドレン取り合いの防水処理が甘かったのだろうか?
今求められているのは、店内の雨漏りをとめることです。
「このドレンを潰そう」
職長さんに指示し、ウエスを詰めて閉塞させました。
間も無く店内の漏水は止まりました。
あとは新品のウェスで、店内の拭き掃除です。
華やかなドレスを着た女性を横目に、作業着で雑巾掛けする自分。
シュールな光景です。
身から出た錆というのはこういうことだな、と考えながら作業しました。
翌日、快晴の中、ドレンの詳細点検です。
発錆が著しい鋳物ドレンは、やはり一部欠損してました。
当初の計画通り改修ドレンを取り付けていれば、今回の事故には至らなかったはずです。
施工前は他の劣化箇所からも漏れていたのが、そちらは全て防水したので、1箇所に集中してしまった…。それが「工事前より雨漏りがひどくなった」理由です。
もちろん自腹で補修工事を仕上げました。

教訓 そして決意

今回の漏水事故では、多くの反省があります。

    1. 1.調査不足
      スネークカメラ等を使用してドレン及び縦樋も点検すれば、防水層のみではない劣化状態が把握できたのに…。
    2. 2.説明不足
      詳細な調査の上で、やはりお客様には劣化度合いと改修案を理解していただくべきでした。少なくとも、理解していただく、その努力が足りなかったかも知れません。

その上で自信を持って、正当な予算を提示すべきでした。
結局、お客様に価値を提供することを第一義にしていなかったのです。
前述した2つの段取りが不完全でした。
自分の都合と思い込みを優先していたと、深く反省せざるを得ない体験でした。
「雨漏りを止める」という価値を提供する事、我々のシンプルな目的。
決して誤ってはいけません。

後日談

この防水補修工事をしてから、2年ほど後でしょうか、同じお客様から再度問い合わせがありました。
他の建物も見てほしい、雨漏りして困ってるとのことでした。
現調からご提案。
そして、屋上防水全面改修の見積もり提出。
もちろん10年保証仕様。
今回は満額でご用命いただきました。笑

これからも、心して使命を果たします!

2019年2月21日
雨漏り110番岩手店
菊池裕悟

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