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お客様の指示に基づく自己流雨漏り補修の末路【雨漏り110番相模原店】

2019.05.21 雨仕舞,プロフェッショナルとして,業者の選び方,正しい知識,建物のメンテナンス,雨漏り職人,雨漏り修理,家を守るために,雨漏り修理の失敗例,雨漏りに取り組む,お客様へ,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番相模原店の田中が担当します。
よろしくお願いします。

雨漏りというものは本当に奥の深いものです。
私たちの様な雨漏りの専門家として活動している業者でさえ、予想外の事態や、想像もしなかった箇所からの雨漏りに遭遇するケースもあり、想像以上に奥が深いものなのです。

そのようにプロでさえ難しい雨漏りの修繕工事を、雨漏りに対する知識や経験の乏しい普通の塗装店や工務店などが行って失敗するケースが後を経ちません。

雨漏りを直すためには、雨漏りの原因を見抜く診断力や調査能力と、求められる工事を行える施工能力が必要ですが、その他にもう2点とても重要な要素があります。
それは、建物の持ち主であるお客様の『雨漏りを直したい』という気持ちと、工事業者を信頼するという事です。

今回ご紹介させていただくケースは、お客様ご自身が雨漏りの原因を考えて、業者に雨漏りの修繕方法を指示して工事を行い、その結果、取り返しのつかない事態を起こしたケースです。

神奈川県に住むA様と言うお客様がご自身で設計された注文住宅です。
弊社とは15年以上のお付き合いを頂いており、これまで外壁塗装、塀の塗装、板金屋根の塗装など、沢山の工事をさせて頂いたお得意様です。
デザイン性を求めるあまり、雨漏りしない仕組みの部分(雨仕舞)が考えられておらず、雨漏りしやすい(雨漏りのリスクが高い)建物です。

一番最初に外壁塗装をさせていただいた時点で、将来的に玄関ポーチの庇からの雨漏りが発生する事が想像されるので、早めに防水工事を行った方が良いとお伝えしていましたが、A様が希望されている工事は、家を綺麗にしたいのでペンキを塗り替えてほしいというものでした。
他人から見えない玄関ポーチ庇の防水などにお金はかけたくないと言うのが理由でした。
言うまでもありませんが、建物の所有者であるA様がとにかく建物を綺麗にしたいと仰るのであれば、綺麗にするのが我々の仕事ですので、仰せの通り外壁塗装工事をさせていただきました。

その数年後には、塀の塗装や板金屋根の塗装などをさせて頂きましたが、その際も玄関ポーチ庇は工事をしませんでした。

さらに数年が経過し、ついに玄関ポーチ部分に雨漏りが発生しました。
下の写真の様に雨漏りをおこして、天井が崩落してきそうな状態になっています。

流石に本格的に直さなくてはならない時期が来ていると説明をしましたが、それでも見えない所にお金をかけたくないとのお考えでした。
とはいえ、私たちとしては中途半端に直すことはできませんので、玄関ポーチの庇の防水、1F屋根の葺き替え、崩落しそうな天井の修繕と、総額で100万円程のお見積りを提出しました。
その結果、予算オーバーなので今回は別の業者で工事をするとの報告を受けました。

そこからさらに数年が経過したある日、A様から玄関ポーチの防水を見てほしいとの、お電話があり、現場を見させて頂いたのですが、玄関ポーチの庇の防水がとんでもない事になっていました。

 

防水面の上に屋根と同じ色で塗装をした鉄板を接着剤で張り付けてありました。
パックリと空いた隙間からは大量の雨水が建物内部に入り込んでいるようです。

これはA様が別の業者に依頼した時にされた工事で、30万円程だっだそうです。
予算の範囲内だったので他社に頼んだが、結果的に意味のない工事にお金を払ったと後悔をされていました。
しかし、業者だけが悪い訳ではなくA様にも問題があります。
その業者の薦めたやり方ではなく、A様ご自身の考えを業者に伝えて、A様の考えに合わせた内容の工事を業者にやらせたということなのです。
A様の指示に黙って従い、何の意味もない高額な工事を行う業者の責任も大きいですが、A様はご自身の考えと指示で行われた工事なのでA様は文句を言えません。

ここで、あらためて私たちが対応させて頂く事となった訳です。
施工内容は、玄関ポーチの防水、1F瓦屋根の葺き替え、1F板金屋根の葺き替え、玄関ポーチ天井の解体と修復などで、お見積り額は総額150万円以上になりました。

しかし残念ながら、またしても予算オーバーとの事で、今回も他社による応急処置的な工事を選ばれたのです。
約20万円の費用を掛けてシーリングなどの応急的な処置をしたようです。
この応急処置的な工事の際も、A様の考える修繕方法を業者に指示をして作業をされたようです。

さらに時間は流れて数年後、再びA様からのお電話がありました。
「玄関の天井が大変なことになっているので助けてください」との事で、現場に飛んで行ったところ、天井から大量の雨水が流れ出しており、玄関前の天井は一層酷い状態になっていました。

今にも崩落しそうな天井を解体すると、下地の木材も腐食している状態です。
『最初から田中さんの言う事を聞いておけばよかった』と後悔していると言って頂き、今回はようやく弊社で工事をさせて頂く事となりました。

予算の問題もあり、とりあえず玄関ポーチの防水と天井の修繕のみ工事をさせていただきました。
1F屋根周辺については簡易な応急処置をさせて頂き、現状で雨漏りは止まっています。

とりあえずは一件落着なのですが、この話には小さなオチがあります。
弊社で施工している最中もA様ご自身の考えによる工事に対する要望が止まりません。
「ここの下の隙間を塞いでほしい・・・」
「ここはコーキングだけで大丈夫・・・」
「やっぱりこっちはこうした方がいいかも・・・」
「ここは適当な感じで鉄板を張って・・・」
などなど、絶対にやってはいけない様な工事をして欲しいと仰るのです。

どうやら過去の業者さんはこのA様の言葉に従って酷い仕事をしてしまったようですね(笑)

弊社にはプロとして曲げられない信念がありますので「A様の言うとおりに工事をした場合、一切保証は出来ませんので内容は変更いたしません」と、キッパリお断りしました。
何を言われても施工内容は変えず、最終的にプロとして満足のいく工事が出来ましたが、改めて思う事は【お客様の正しい判断と協力なくして良い工事は出来ない】という事です。

雨漏りを直す工事というものは大きな費用がかかる事も少なくありません。
しかし、安さにつられて間違った工事をしてしまうと、その時の工事費用が無駄になるだけではなく、後々より大きな費用の修繕費がかかってしまう事もあります。

費用面よりも工事の内容に重きを置いて、慎重に業者を選び、選んだ業者を信頼して工事を任せることが雨漏り修繕の近道であると思います。

2019年5月21日
雨漏り110番グループ相模原店
田中徹正

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