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気付かなかった雨漏りに気付いた話。【雨漏り110番小平店】

2019.06.25 プロフェッショナルとして,業者の選び方,正しい知識,塗装工事,防水工事について,雨漏り職人,サイレントキラー雨漏り,雨漏りに取り組む,コラム

本日の雨漏り110番コラムは雨漏り110番小平店の米澤が担当します。
よろしくお願いいたします。

雨の季節になりました。気象庁から今年は6月7日に関東甲信が「梅雨入りしたとみられる」との発表がありました。雨が多くなれば当然ながら私達のもとに入ってくる雨漏りのお問い合せも多くなってまいります。しかし、そうかといって雨が降ってしまっては雨漏り修理が進められないというジレンマもあり、心苦しい時期といえます。
近年では梅雨といいましても、シトシトと降る長雨だけでなく急にドシャっと降るゲリラ豪雨が多くなったような気がします。またそれにともない雨漏りも予期せぬ所から浸入するパターンが増え、診断も難しくなってきていて悩ましい限りと言わざるを得ません。

さて本日は「気付かなかった雨漏りに気付いたお話」いわゆるサイレントキラー雨漏りの事例についてです。サイレントキラー雨漏りについては今年2月17日の大田店の記事や2月25日の南大阪店の記事、あるいは5月7日の川崎店の記事でも触れている雨漏りの状況の一つであり、具象として表われてはいないが壁の内部に漏水している状態で、気付かないうちに木部を腐らせたりシロアリ発生原因になったりする厄介な雨漏りのことです。
この度のお客様も当然、雨漏りしていることにさえ気付いていなかったというお話しです。

【雨漏りに気付くまで】

話は3年前のちょうど今頃の季節です。この事例、もともとは雨漏りの修理を依頼された事案ではなく、外装塗り替え現場で起きた話しになります。
物件は木造2階建てで、同じ様な造りの住宅が8棟程並んで建っている建売住宅街の内の1つです。
何社かの相見積りを取っていたお客様から当方にも見積もり依頼があり、その後メールのやり取りを通して、見積り内容についての説明やお客様が不安に思っている点、他社の見積りの不自然な表現やおかしな所等を丁寧に解説・説明していくことで、最終的に外装工事を私共にお任せいただけることとなりました。

足場仮設工事の前日、お家の周りで足場の邪魔になる物はないか最終チェックを行なった時の事です。

丁度こちらのお宅では家の裏側に木製のデッキがあったのですが、普段使用していないこともあり部分的に木部が朽ちていて、足場を建てるにあたっても今後このままにしておくにしても危険だという判断から施主様と話し合い、デッキを解体することにしていました。
デッキは2X4材で組まれているものだったので、ビスさえ抜いてしまえば解体は容易に出来ました。後は適当な大きさに切ってしまえば家庭ゴミとして燃えるゴミの日に出せます。(地域のルールによる)

作業が終了する頃、ふと見上げると軒先にキラッと光る水滴が見えました。
「ん、なんだ、おかしいな、何でここから水が垂れてくるんだ!」

見積り作成時やお打ち合せの時等、これまでに訪問した時には軒先の水滴には気が付きませんでした。
この日はちょうど前日が雨だったので乾ききらない水分が垂れてきたのでしょう。

早速、直上のバルコニーへ梯子で上がりますとドレン(排水口)が落ち葉で詰まっています。落ち葉を取り除いてよく見るとステンレス製の横引きドレンとFRP防水の取り合いが肌別れしていました。

おそらくここから水が回っているのでしょう。
実はステンレス製のドレンとFRP防水はあまり相性が良くないのです。
木造住宅バルコニーのFRP防水における排水ドレン廻りの雨漏りについては4月22日の茅ヶ崎店のコラムの中で詳しく紹介しておりますので、ご興味を持たれた方は是非そちらもお読みください。
バルコニー・屋上防水 ドレン(排水口)からの雨漏り事例【雨漏り110番茅ヶ崎店】

話しを戻しましょう。
防水塗膜表面に力を加えると少しペコっと凹む感じがあります。どうやら下地の木部も傷んでしまっているようです。本来ならば見積り調査訪問の時等、もっと早くに気付くべきだったと悔やまれますが、後悔している場合ではなく今は現状を施主様に報告しなければなりません。
一旦、シーリング材でこれ以上は水が回らないよう応急処置をして、外装工事の際に防水塗膜を剥がして確認してみる事、その際に木部の傷みが酷く大工工事が必要な場合は別契約の追加工事となる事等を説明致しました。

施主様はご了承下さいまして、翌日からは予定通りに足場を組立て、外装工事がスタート致しました。

【雨漏り修理とFRP防水】

工事はクラック補修やシーリング等の下地補修を行い、屋根、外壁、付帯部分の塗装工事を完了させ、バルコニーの防水に取り掛るところまで進みました。
いよいよFRP防水塗膜を剥してみます。案の定、下地の木部は朽ちており、柱や梁の一部は無くなってしまっています。

これがサイレントキラー雨漏りの恐ろしいところです。
浸入する雨水の量が少なければ自然に乾燥する場合もありますが、雨水がバルコニー防水等の下に廻ってしまったり、雨水の出口が間違った雨漏り補修で塞がれてしまっていたりしていて乾燥しづらい状況の場合は、気が付かないうちに壁の内部をボロボロにしてしまいます。

シロアリが発生していなかったことは幸いですが、木部の補強はしなければなりません。施主様に状況を報告し、追加工事が発生する旨をご確認いただいた後に大工さんを手配致しました。

木部を補強して合板とケイカル板を貼り、プライマーを塗布し、FRPを積層します。

既存のステンレス製ドレンは撤去し、FRP製の物に交換して改修しました。FRP同士なので相性が良く馴染みます。

トップコートを塗ってFRP防水の完成となります。

家の内部に具象が現れる雨漏りではなかったこともあり、住まわれている施主様が気付いていなかった雨漏りに軒先のちょっとした水滴で気付く事が出来ました。そして「内部を確認してみたら思っていたより酷かった」という状況をしっかり直すことが出来ました。これで安心して暮らしていただけます。
外装工事はただ塗り替えるだけではないのです。お家の悪い所を見付けて、長持ちさせるためにしっかりと直すことが出来る業者を探しましょう。雨漏り110番の加盟店はきっとお客様のお役に立つことでしょう。

【おまけ】

この話しにはちょっとしたオマケがありますので、もう少しだけお付き合い下さい。
私達が足場を建てた翌日、実はお隣様も外装工事を始めました。私達は施主様とご一緒に着工の1週間程前にご近所の皆様に工事を始めるご挨拶に回っております。その際にもお隣様から外装工事のお話しを聞いてもおりませんし、お隣様は近隣への挨拶も回っていないようでした。

工事初日に塗装屋さんが3人でグラグラの単管抱き足場を組んで、その日の内に外壁と屋根を洗っていました。屋根勾配は6寸あったので私達は屋根にも足場を組んでおりますが、お隣は足場に括ったロープに捕まりながらの作業、それも年配の職人さんが家庭用の洗浄機で洗っていました。見ているこちらが怖い位です。塗装工事の方も私達が下地補修やシーリングをしている間にはさっさと塗り始めており、1週間程度で作業終了となり足場を解体しておりました。
どうやらバルコニーの防水はトップコートを塗り替えただけのようです。

コラムの冒頭で申し上げた通り、お隣様のお宅も同じ様な造りの建売住宅です。バルコニーはFRP防水が施工されていて、ステンレス製の横引きドレンが付いています。必ずしもFRP防水塗膜とステンレス製ドレンの取り合いが肌別れしていて雨漏りしているとは断言出来ませんが、その可能性は大きいと思います。

他人の仕事にケチを付ける訳にはいかないので何も言えませんでしたが、もしかするとお隣様のお宅は今もサイレントキラー雨漏りを抱え、内部の柱や梁が腐っているのかも知れません。

2019年6月25日
雨漏り110番小平店
米澤義則

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