本日のコラムは雨漏り110番館山店の佐々木が担当いたします。
よろしくお願いいたします。

今回は下屋根を葺き替えたのに直らない雨漏り事例の続編となります。
前回のコラムはこちら
下屋根を葺き替えたのに直らない雨漏り事例1【雨漏り110番館山店】

前回のコラムでお伝えしたように、トップライト周りの雨漏りは、一次防水である板金屋根の不具合と、二次防水であるルーフィング端末処理の不具合であることが判明しましたが、今回はもう一箇所の居間テーブル上の天井からの雨漏りの雨水侵入箇所の調査の様子をお伝えします。

前回のコラムのおさらいをすると、雨漏りが発生したのは3月1日。
お客様より連絡を頂き、状況を確認に行ったのが3月8日。
そして散水調査を行ったのが4月1日。
雨漏りが発生してから散水調査の日まで、１ヶ月間お待たせしてしまいました。

その１ヶ月の間に、まとまった雨が降った日が4日ほどありましたが、いずれの日も雨漏りはなかったとの事でした。

気象庁鴨川地区の１ヶ月間の気象データを参照

このデータをみる限り、居間のテーブル上天井からの雨漏りが発生した1日の気象状況と、9日の気象状況が酷似しているので、雨漏りがあってもおかしくないように思われますが、平均風速と瞬間風速の数値が低い為、雨漏りは発生しなかったようです。

このことから風の影響を伴なった雨量に原因があると推測されます。

居間のテーブル上の天井からの雨漏りは、過去には一度もなかったとの事でしたから、下屋根の葺き替え工事を行ったがために、新たな雨漏りが発生したということは、その工事に伴った施工に不具合があると推測できます。

おそらく,どんなに雨量が多くても風が吹いて無かったり、風向きが逆の場合は外壁に直接雨水が叩きつけられないため、雨漏りは発生しなかったのでしょう。

下屋根葺き替え工事に伴い既存の外壁（かき落としリシン壁）をカットしてモルタルで補修してありますが、モルタルの上には既存色に調色された塗料で塗ってあります。

触った感じでは防水性のある弾性塗料ではなく、ごく普通の艶消し塗料のようでした。

さらに念入りに調べると、既存の外壁と補修したモルタルとのつなぎ部分にヘアークラックが発生していました。

この補修箇所を塗装したペンキ屋さんは、リフォーム会社の指示に従って既存の色に合わせることだけを優先して防水機能のことは頭になかったのでしょうね。

この補修箇所は絶対に割れるのですが、いくらなんでも１ヶ月も経たないうちに不備割れするとは少し早すぎますね。

下屋根を葺き替える前は雨漏りは無かったのに下屋根を葺き替える工事を行った後に外壁に叩き付けるような雨が降った日に雨漏りが発生したということは・・・

このモルタル補修箇所が第一本命と狙いを定めました。

散水調査を終えた箇所は、水が当たらないように養生をして散水を進めていきます。

散水しているこの真下が丁度居間のテーブル中央になります。

10分後に雨漏り具象を確認。毛細管現象により一度水の通り道ができると、あれよあれよという間に水滴が垂れるほどになりました。

少し離れた所にもヘアークラックがあったので、ピンポイントに散水開始。

こちらは５分後に雨漏り具象を確認。

そしてもう１箇所、出隅コーナー部分もヘアークラックがありましたので、ピンポイントに散水。

この真下の様子は梁がブラインドになり、天井裏からは目視で確認することができませんでしたが

サーモグラフィーカメラを用いれば、温度変化により天井に溜まった水が柱を伝わり流れ落ちている様子が良くわかります。

水分計の計測でも数値が大きく跳ね上がっているのがわかります。

３月１日の雨漏りがあった箇所では、ここの雨漏り具象は確認されていませんでしたが、散水調査を行った３か所ともに外壁の補修部分からの侵入が確認されました。

ということで、居間のテーブル上の雨漏りの原因は、下屋根葺き替え工事に伴い外壁をカットした部分の一次防水、二次防水に不具合があることが判明されました。

今回のお客様からの依頼内容は、原因究明のみで工事は施工業者にやり直しをしてもらうとのことでしたので、お客様と施工業者に雨水侵入位置をお伝えして終了となりました。

その後、施工業者が施工の不具合を認め、雨水侵入箇所の施工のやり直しを約束してくれたと、お客様より連絡をいただきました。

2019年7月10日
雨漏り110番館山店
佐々木恒治